お菓子天国と呼ばれるポルトガル、スペインと言えばバスク
ポルトガル『お菓子天国ポルトガルは、卵黄クリームが主役』
16~17世紀に、貿易を通じて日本にさまざまな文化を伝えたポルトガル。
そのなかの一つが、いわゆる“南蛮菓子”といわれた、ポルトガルのお菓子文化で、金平糖やカステラなど、そのルーツをポルトガルに持つ和菓子も少なくありません。
そんなポルトガルのお菓子の多くは元々、修道院で誕生したものといわれています。
かつてポルトガルの修道院では、僧服やシーツの糊付けに卵白を使っていて、余った卵黄でお菓子を作ったというエピソードが残っています。
そのためポルトガル菓子は今も卵黄が主役のものが多く、なかでも卵黄とグラニュー糖のシロップで作る黄金色のクリーム、「ドース・デ・オーヴォス」は、ポルトガル菓子の顔ともいえるもの。
その素朴な味わいは、町中のカフェやパティスリーで今も大切に守られています。
スペイン『バスクをはじめ、国境をまたぐスペインのお菓子文化』
カタルーニャやアンダルシアをはじめ、17の自治州が存在するスペインでは、各地域の民族意識が高く、国としてひとくくりにその文化を捉えることは至難の業。
食文化もやはり、スペインの各地方、各地域によって、その特徴はさまざまです。
なかでも最も興味を持ったのが、スペインとフランスの両国にまたがるバスク地方。
かつて統一国家として繁栄したこの地域は、16世紀にフランスとスペインに分割・編入されたものの、その後もバスクの文化や風習を守り続けてきました。
スペインのバスクは近年、美食の地としても知られるようになりましたがパティシエの私が注目するのは、なんといっても“バスク菓子”。
「これは他の地方にはないお菓子だ」「うちの店のレシピが一番」などとパティスリーで働く人々が胸を張る姿が印象的でした。
イギリス『イギリス海軍の非常食が、今では“おふくろの味”に』
ジャマイカや南アフリカなどを旅した際には、イギリスのお菓子文化が根付いている様子を目の当たりにし、かつて世界の海を支配した、大英帝国の面影が見て取れました。
イギリスを代表するお菓子といえば、どっしりとしたプディングや焼き菓子。
海軍兵のお腹を満たすため、日持ちと腹持ちの良さに重点が置かれ、発展したとか。
そんな背景から、華やかというより素朴なホームメイドのお菓子が基本のようです。
フランス『革命により市井に放たれ、地方で育まれたフランス菓子』
美食大国フランスを語る上で欠かせないのが、フランス菓子の存在です。
18世紀末、フランス革命によって行き場をなくした修道女や、貴族お抱えだった菓子職人たちが町に出て、お店を持つようになり、そこで庶民はようやくお菓子を口にできるようになったのだとか。
そんな背景もあって、パティスリーやカフェなどでお菓子を楽しむスタイルが主流。
また、各地方の個性も際立っていて、パティシエとして特に印象深かったのが、フランスとドイツとのお菓子文化が融合するアルザス=ロレーヌ地方、フランスに初めてチョコレートが伝わった場所とされるバスク地方、そしてフルーツが豊富なプロヴァンス地方でした。