尖閣海域をはじめとして、中国の強硬姿勢が強まっています。日本は自国を守りきることができるのか? 評論家で台湾独立運動家の金美齢さんは、その鍵の一つを「日台関係の強化」に見出します。蔡英文総統と安倍前首相に共通する「退かないリーダー像」が示唆するものはなんでしょうか。

※本記事は、2020年7月に発売した金美齢:著『愛国心 -日本、台湾-我が2つの祖国への直言-』(ワニ・プラス:刊)より一部抜粋編集したものです。

徹底的に朝日新聞を批判した安倍晋三

安倍元首相は「戦う政治家」です。例えば2003年当時、官房副長官だったときには、拉致問題に関する朝日新聞の「安倍批判社説」に、真っ向から反論する記事を『週刊文春』に書いています。拉致問題という北朝鮮の理不尽な仕打ちに対し「落としどころ」を探るべきだとする朝日新聞を鋭く批判したのです。

朝日新聞がまだまだ強い影響力を持っていたころですから、こんな風に反論すれば朝日新聞がどれだけ恨みを募らせるか、わかったものではありません。実際、朝日新聞はこの3年後に首相になった安倍さんを、これでもかとばかりに叩きまくった。しかしそれでも、安倍さんは朝日批判を徹底し、ひるむことはありませんでした。

メディアにおもねらない姿勢は、日本の政治家に久しく欠けていたものでした。だからこそ私は、安倍首相が第一次政権を1年で退陣したあとも、彼を応援し続けたのです。

▲職員から花束を贈呈される安倍元首相 出典:ウィキメディア・コモンズ(首相官邸ホームページ)

安倍さんは2012年再び宰相の座に返り咲きました。首相を退いてからの5年間は体調不良もあり、それまで取り巻いていた人たちが離れていくなど、どん底の日々を送っていた安倍さんですが、この経験が首相として成長させた。

私があるとき、安倍首相に「だいぶ成長しましたね」と、つい軽口をたたいたところ、首相は笑って「ご指導よろしきを得て」と仰ったのです。第一次政権のときの悲壮感とは違い、第二次政権時の安倍首相は、いい意味で肩の力を抜いたスタンスで政権運営に臨んできたように思います。歴代最長政権になったのも、挫折経験を乗り越えた安倍首相だからこそなのでしょう。