どの世界も稼ぐのは一握りの人間

40代の中年男が「チップで100円もらってテンション爆上がり」とか「ゲリラ豪雨のなか、ずぶ濡れになって配達した結果、450円GET」みたいな話を書いているこのコラム。今回は少しまじめに、配達員として仕事の将来性について思うことを綴ります。

3年以上配達を続けてきて、一番感じるのは「長期間、配達員を専業で行うのは難しい」ということです。

まず、私のような東京都内でレンタル自転車を借りて配達をしている場合、朝7時から夜12時ぐらいまで運び続けて稼げるのは1万5000円ほど。1日に働ける配達時間(配達依頼を受けた瞬間〜配達終了までの時間)が12時間と決まっているので、どんなに注文が殺到しても、このくらいしか稼げません。

▲思うようには稼げない イメージ:PIXTA

配達員にはクエストと呼ばれるボーナス制度があって、月曜日〜木曜日までの4日間で決まった回数を運んだらボーナス1万2000円とか、金曜日〜日曜日までの3日間で決まった回数を運んだらボーナス1万円みたいなものがありますが、そのボーナスを全て獲得したとしても週12万円ほど。

単純計算すれば、月に換算して約50万円。これはこれで魅力的。とはいえ、冷たい風が顔を刺すように吹きつける真冬や、最高気温が35度を超える日に早朝から深夜まで働けば体を壊すので、月50万という数字はあまり現実的ではありません。とくに45歳の中年にとってはなおさら。

スピードが出るロードタイプの自転車を使えば、もっと稼げますが、仮に1日2万円。クエストボーナスを全て取ったとして、体を壊すほど働いて月80万円ほどだと思います。体を壊さない程度に働くなら50万ほどといったところでしょう。

▲稼げるユーチューバーもほんのわずか イメージ:PIXTA

さらにスピードの出るバイクであれば、理論上、月100万円は可能だと思います。私も100万円以上稼いでいる配達員が、テレビ番組やユーチューブに出演しているのを見たことがあります。

数字だけを見てみると「ウーバーって実入りのいい仕事だな」と思えます。ですが、実際にやってみると、80万円とか100万円というのは理論上の数値であることが身に染みてわかります。

子どものなりたい職業としてトップクラスの人気のユーチューバーも、理論上は億単位の収入を得ることが可能ですが、そのためには毎日動画を作ってアップしたり、たくさんの人にチャンネルを登録してもらえるように、SNSなどで宣伝活動をしなければなりません。さらに細かい作業を全てやっても、億単位の収入を得ることができるのは、ほんの一握り。

ウーバーイーツの配達で高額の収入が得られるのも、都内の道に詳しく、早朝から深夜まで運び続けるくらい元気ハツラツな、ほんの一握りの人だけなのです。

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