登場人物に誰を出したら面白いかを強く意識している

――YouTubeというコンテンツの良さをふんだんに生かせた、と。あとプロレスラーネタでいうと昔話シリーズ。あれも天才の発想ですよね。

神奈月 昔話のなかにレスラーの生き様というか、歴史を織り交ぜて物語にするという。あれは僕的には名作なんですけどね。天龍(源一郎)さんの「鶴の恩返し」とか。ドリー・ファンクJr.のスピニング・トー・ホールドとかジャンボ鶴田のジャンピング・ニー・パッドとか、もうあの辺は40~50代じゃないとわからないんじゃないかな(笑)。

〇【天龍源一郎】のものまねで読み聞かせしてみた~鶴の恩返し~

――ちなみに「絵本の題材はこれでいこう」と決めて、それにプロレスラーの歴史を挟んでいくんですか? それとも「レスラーの歴史を挟もう」と思って、絵本をあとから選ぶんですか?

神奈月 両方ありますけど「登場人物で誰を出したら面白いか」っていうところを何よりも意識してますね。たとえば『桃太郎』だったら家来がいるので「これ、三銃士にすればいいから、じゃあ(桃太郎は)長州さんでいこうか」とか。『鶴の恩返し』だと「鶴といえば鶴田だから、これはもう天龍さんで読もう」みたいな。そこにレスラーたちの歴史を挟んでいくイメージです。

〇【長州力】のものまねで読み聞かせしてみた

――この読み聞かせシリーズも素晴らしくて。あんなに無邪気に笑った自分は、いつ以来だろうって(笑)。

神奈月 僕自身も編集されて出来上がってくるのが楽しみな動画でしたもん。で、上がってきた動画を見て「プロレス知らないやつはわかんないだろうな~」って思いながら(笑)。でも、わかんない人でも「どんなレスラーなんだろう」って、意外と関心を持ってくれたみたいで。プロレスを知らない人がプロレスに興味を持ってくれるような、逆流していってくれれば、またさらにプロレスが盛り上がりますよね。

たとえば、僕が長州さんの動画(『RIKI CHANNEL』)のものまねをしてる企画があるんですけど、それも僕が配信したことによって、今まで長州さんの動画を見てなかった人が逆流して本家を見るっていう。結果、僕の再生回数も上がるんですけど、同時に長州さんの動画のほうも上がるという。

――まさに相乗効果! あと、うちの子どもが6歳なんですが、私が神奈月さんの動画をヘビーローテーションしているので、最近の口癖が馳さんの「元気出せよ!」です。子どもって元ネタを知らなくても、面白いものには純粋に食いつくというか。

神奈月 お子さんはそうですよね。馳さんの「おい、恭子!」(馳浩さんの奥さん・高見恭子さん)とか、意味がわかんなくてもいいですもんね、感覚で面白ければ。ありがたいですね、それは。

――『カンチャンネル』は週2回更新されて、しかもクオリティーがこれだけ高いものをやっていくのは大変だと思います。

神奈月 正直、やりだしたころは「なんとなく撮りゃいいや」ぐらいの感覚もあったんですけど、やっぱり継続してやってると「ちゃんとメイクもしないといけないな」とか「ちゃんと作り込んでいかないと駄目なんだな」っていうのを、少しずつ学べた感じですね。チャンネル登録者数も少しずつ増えてきてるし、だからこそ、手は抜けないなって思っています。

≫≫≫ 後編に続きます、お楽しみに!

▲神奈月さんの優しい人柄とプロ意識がビッシビシと伝わるインタビューとなりました
プロフィール
 
神奈月(かんなづき)
1965年11月3日、岐阜県生まれ。そのクォリティの高いものまねで『ものまねグランプリ』をはじめ、テレビや舞台などで幅広く活躍する。ものまねのレパートリーは武藤敬司、長州力、天龍源一郎、前田日明、木戸修、馳浩などのプロレスラーから、井上陽水、吉川晃司、大友康平、吉田鋼太郎、野村萬斎などの大物芸能人まで大物数知れず。昨年からはYouTubeチャンネル『神奈月のカンチャンネル』を開設し、そのオンリーワンな動画が話題を呼んでいる。