テレビ番組制作現場の末端である「派遣AD」から、叩き上げでフリーのディレクターにまでなった男が、そのテレビの仕事を捨ててまで、ひたすら街頭インタビューするYouTubeチャンネル『街録ch』。チャンネル登録者数 30万人を超える人気番組も、スタートした当初は大変だったようだが、それでもYouTubeに毎日動画をアップしつづける三谷三四郎氏に話を聞いた。

楽しすぎて睡眠不足、病に倒れる

――『街録ch』がスタートしてから、簡単に登録者数が伸びないなかで、どんなことを考えてやっていたのですか?

三谷 一番初めに思ったのは、誰も知らないオッサンがやっているYouTubeなので、出てくれる人のトクになるように作らないと増えないだろうなって。だからテレビ的なちょっと馬鹿にしたような、意地悪なナレーションかぶせたりみたいなことをやったら誰も見向きもしないだろうなって。

だから、聞きにくいことも聞いちゃうんですけど、最終的にはそんなことも含めて、この取材を受けてくれた人を応援したくなるような動画にすれば、一応最低限は取材を受けた人の友達は登録してくれるかな、みたいな。そうしてコツコツやっていけば、(登録者数も)増えていくだろうなって。

▲サムネイルの表現は過激だが、取材対象にはしっかり寄り添う

始めてから2カ月くらい、自分1人しかいないですから、YouTube30本とテレビ1本プラス、ネット系の別の仕事もやっていたせいで、睡眠時間2時間が1カ月半くらい続いたんですよ。

そうしたら、メニエール病で倒れちゃったんです。吐いちゃって立ち上がれなくて自分で救急車呼んで……。怖くなっちゃって。もうYouTubeやめないといけないのかなって思ったんですけど、でもやめたくなかったんですよ。そのころには登録者が3,000人くらいになっていたのかな、だから毎日投稿を止めたくなかった。

――でも、それでは体が続かないですよね?

三谷 はい。そこから貯金を切り崩して、月30万円くらい払ってバイトを雇って、テロップを入れてもらうようにしました。フリーになって、めちゃくちゃ働いて、貯金ありましたので。

一番ドキドキしてましたね。楽しい仕事でめちゃくちゃやりたいんだけど、お金にならない。自分の睡眠時間だけ削れば、頑張ってやっていけるのかな、と思ってたんですけど倒れちゃって、あ、こんなことやってたら死ぬんだって。そのとき、奥さんに子どもができていたんで、これじゃ家族を養っていけないじゃんって。でもやめたくないって……。