狂言風漫才で『M-1グランプリ2019』の決勝に進出し『あつまれ どうぶつの森』などのゲーム実況動画でも人気を集めているお笑いコンビ・すゑひろがりず。現在、初の全国ツアー『すゑひろがりず結成拾周年全国行脚~諸国漫遊記~』で、全国8カ所を巡っているふたりに、ブレイク前の過去やこれまでの過程、そして未来について語ってもらった。

※本記事は『+act.(プラスアクト)2021年6月号』(ワニブックス:刊)より、一部を抜粋編集したものです。

今からドキドキしてます

――本誌が発売されるのは、3公演をすでに終えているころです。全国ツアーの開催を目標にしている芸人さんも多いですが、おふたりはどうだったんですか?

三島達矢(以下、三島) 今回、結成10周年に乗っかって開催することになったんですけど、我々の場合はネタが似通ってしまうこともあって、今まではそこまで単独ライブをやってなかったといいますか。何本か新ネタを下ろす新ネタライブ、というかたちでやることが多かったんですけど、日本全国のいろんなところでファンになってくれる方々ができたので、皆さんに顔を見てもらおうということで開催を決めたんです。

南條庄助(以下、南條) そもそも、全国ツアーをやれるような芸人ではなかったですからね。こんなチャンスは二度と巡ってこないだろうということもあって、今回は盛大にやらせてもらおうと思ってます。すゑひろがりずというコンビ名にえらいこだわって8カ所にしたんですけど、10周年なんやから10カ所でもよかったなぁとも思いつつ。けどまぁ、今回行けなかったところには、また次の機会に行かせてもらえたらいいですね。

――どんなツアーになりそうですか?

三島 ネタばっかりですね。コーナーは0本で、VTRとネタだけです。

南條 地方の人、特にYouTubeを見て知ってくれた人は、ライブに出ている僕らや、ネタをやっている僕らのイメージがしっかりとついてないと思うんですけど、今回は“ネタを頑張ります”というツアーになってます。

――かなりストイックな内容ですね。

三島 そうですね。ストイックに、新ネタと前にやったことのあるネタを改良してやろうかなと思ってます。

南條 10周年なので、やっぱり10年経って今こうなんですよ、というのを見てもらいたいなと思ってまして。

三島 YouTubeにも何本かネタをあげてるんですけど、東京のライブでたまにやってるものとか、何回かやってここだけウケるみたいなネタを改良してやります。けど、どうなるのかは、ほんまにやってみないとわからない。確実にウケるっていう感じはないので、今からドキドキしてます。単独ライブっていうことは、僕らを見に来てるお客さんしかいないはずなので、ちょっと気ぃ使って笑ってもらえたら。

南條 ふふ……そうやなぁ。

三島 単独あるあるなんですけど、自分達のファンだけのはずなのに重い空気になることがたまにあるんですよ(笑)。特に今回は“10周年”とか“全国ツアー”とか掲げているので、僕らはもちろん、お客さんも緊張気味というか高揚感みたいなものがあると思うんですよね。僕らは力入り過ぎないように気をつけたいですし、お客さんも普段通りに。休みの日にふらっと見に来た感覚で足を運んでもらいたいですね。

――先程、南條さんは全国ツアーをやれるような芸人ではなかったと言われていましたけれど、それこそ『M-1』決勝に出る前はどうだったんですか?

南條 単独は、やっても年に1回とか2回やったんですけど、とにかく集客が大変でしたね。

三島 (見に来ているのは)ほとんど身内ですし、自分達でチケットを売って見に来てくださいって、お願いするような状態でもありました。

南條 だから、ネタを作るよりチケットを売るしんどさのほうが勝っていて、やる意味を感じられんかったというか。単独ライブって、やっぱり見に行きたいって思ってくれる人がいて初めて成り立つもんですからね。

三島 今回が初めてです、自分達でチケットを売らなくてよくなったのは。それまでは自分達で50枚くらい手売りしてましたからね。まぁ、50人も知り合いはいないんですけど。

南條 50枚も売れてなかったなぁ。頑張って30枚くらいでしたよ。来てくれるのも、ほんまにみんな知り合いや友達ばかりなんで、新ネタを試す意味もあんまり感じられなかった。なのに、全国ツアーなんて……夢みたいですよね。

――やはり2019年の『M-1』決勝に出て、世の中に知られたことは、おふたりにとって大きな出来事だったんですね。

三島 そこから芸人人生が始まったようなものですね。『M-1』決勝は皆さんの記憶に残るように、どうやったらインパクトを与えられるのか、ということだけ考えてやったんですけど、それに関しては成功したんじゃないですかね。

南條 ほんまに。我ながら、あの時はうまくいったなと思います。

――『M-1』決勝以前は、売れるということにいろんなイメージを持っていたと思うんですが、実際、さまざまな番組に出演するようになって、想像と現実に違いはありましたか?

三島 以前の僕は、煌びやかなことは半分諦めかけていたところもあったんですけど、いざ体験するとやっぱり得意ではないというか(笑)。

南條 ちょうどいい売れ方って、ないんやなと思いましたね。想像だけのときは、しんどい部分を見ずに煌びやかな部分だけ思い描いて楽しそうやなって思ってましたけど、そりゃそうや。誰しもが楽したいと思うでしょうけど、楽して稼げる方法はない。出たら出たぶん、大変なこともしんどいことがあるのは当たり前ですよね。悩むことも多いですし……けど、注目されないよりはされたほうが絶対にいいので、幸せな悩みですけど。

――三島さんなんて、まさか“壁舐め”〔注:『ロンドンハーツ』でロンドンブーツ1号2号・田村淳や有吉弘行とのやりとりから生まれたもの〕とイジられるようになるとは思ってなかったでしょうし。

三島 はい(笑)。けど、それがまた別の仕事につながっていって……本当になんなんでしょうね? まさか自分が年末に何時間も放送されるゴールデンの特番で座ってるなんて想像してなかったですから。うれしくて、あの時の台本は持って帰りました。

すゑひろがりずさんへのインタビュー記事は、5月12日発売の『+act. (プラスアクト) 2021年6月号』に全文掲載されています。