たとえ親でも子どもの連れ去りは「犯罪」

2018年4月5日、名古屋地裁において、妻がこうした虚偽DVを主張し、それを調査せずに警察が事実を認めたのは名誉毀損であると、夫の提訴に対する判決が言い渡された。判決で裁判長は「妻側の主張するDVは診断書などがなく、誇張された可能性がある。妻は子どもと夫の交流を絶つ意図で支援を申請したと認められ、制度の目的外使用だ」と認定し、妻と県に対して賠償命令を出した。

支援措置の制度的な欠陥が、司法により初めて認められた画期的な判決といえる。しかしながら、こうした支援措置申出書が全国で一体何件出され、A氏のような冤罪DV被害者が一体何人いるのか総務省さえ把握していない。

▲支援措置の制度的な欠陥が認められた判例はあるが… イメージ:PIXTA

2ヶ月前にA氏に会ったとき「不登校で義務教育を卒業し、高校にも行かず友達もおらずに引きこもっている娘が自殺するのではないか、それだけが心配だ」と言っていた。A氏のように「連れ去り被害」で苦しんでいる人たちを減らすために、一体何ができるのだろうか。

まず第一に「嫌だなと思うことは全てDVだ」という、とんでもない言説がまかり通らないように、DV防止法を見直してDVの定義をもっと厳格にするべきである。次に、A氏のように冤罪DVで苦しむ人がこれ以上出ないように、虚偽DVを申し立てた配偶者や指示した悪質弁護士に対して、厳しい罰則を科す必要がある。

国民が無関心でいる間に、多くの子どもたちが片親と引き離されて苦しんでいる。北朝鮮による拉致問題が世間の耳目を集めているが、子どもの連れ去りは国内における拉致問題であり犯罪である。

犯罪者である親でなく、被害者である親が苦しむ国はまっとうな国とは言えない。アメリカでは、子どもを連れ去った親は犯罪者として厳重に処罰される。日本も犯罪者に対して毅然とした態度がとれる国になるために、今こそ良識ある国民が声をあげる時である。