マイルールを捨てたら人に優しくなれた

スワイプした方は、ここまで飛んできて着地していただきたく思う。このようにして「自分のルールを捨ててもよい」という「気づき」を手に入れたわたくしは、閉ざされた部屋から脱出し、世界が広いことに驚く。

不思議な発見だが、自分に優しい世界では、人のこともずいぶんと許すことができる。人のことで腹を立ててしまったら、まず自分を振り返って「いいこいいこ」するのが好ましい。そして新たに出現する乗り越えなければならない壁の多さと、その壁の向こうに広がるきらきらにめまいがした。

地元東京での高校受験のため、退院するわたくしを患者の仲間たちは寂しそうに送り出してくれた。絵を描いてもたせてくれたあの子は、どうしているのだろう。10代にして壮絶な闘病生活を乗り越えた彼らは、幸せをつかもうと日々充実させていると信じている。

最近の私。皆さんに伝えたいことがたくさん湧いてきます!

ひと夏の思い出が夏目漱石の『坊ちゃん』と重なる

時代こそちがうものの、地方での生活に奮闘する有名な日本の小説がある。「親譲りの無鉄砲で~」という冒頭は、誰もが一度は耳にしたことがあるのではないだろうか。そう、夏目漱石の『坊っちゃん』だ。

わたくしなりのあらすじを簡単に載せておく。

主人公の「坊っちゃん」は、無鉄砲のあまり親からは愛されなかったものの、今でいうお手伝いさんの清(きよ)から愛情をたっぷりと注がれて育つ。やがて彼は学校を卒業し、教師として仕事をするため単身四国に渡るのだが、そこでは性格上、我慢ならないことばかりが待ち受けていて、、、「坊っちゃん」とよき同僚になる「山嵐」をはじめ、嫌みな役として登場する教頭たちなど、彼を取り巻く脇役たちも個性豊かに描かれており、スピンオフも思わず読みたくなる一作だ。

わたくしのお気に入りの場面は「坊っちゃん」と「山嵐」が、意地悪な教頭たちともめにもめた(その規模は読むとわかるが、想像をゆうにこえてくる)末に、2人して四国を離れるシーンだ。

本文から、引用させていただく。

「その夜おれと山嵐はこの不浄な地を離れた。船が岸を去れば去るほどいい心持ちがした。神戸から東京までは直行で新橋へ着いた時は、ようやく娑婆(しゃば)へでたようなきがした。」

どうだろう、内容を知らなくてもこの文を読むとやりすぎといえばそうだが、一瞬、痛快な気分になってしまわないだろうか?

わたくしは、慣れない土地での入院生活、いや、人間関係というべきか、いずれにせよ、なんやかんや言いつつうまくやってのけてしまった。しかし、完全再現とまでいかずとも多少「坊っちゃん」のように、我を強く持ち続けてもよかったのかもしれない。まあ、最初からそれができていたら病気などしなかったのだろうが。

前回の連載に引き続きアルフレッド・アドラーの言葉を拝借するが「陰口を言われても嫌われても、あなたが気にすることはない。相手があなたをどう感じるかは相手の課題なのだから」。なるほど、そう考えると悩みがぐっと自分から遠ざかっていくような気がする。「坊っちゃん」は、気にしないのだ。

それでいて、自分の使命に真っ直ぐすぎるくらいなのだ。彼は、誰かの賞賛なんて求めていない。だから、批判を浴びつつも、時代を超えて多くの人、そして忘れてはいけないお手伝いさんの清、に愛されているのだ。

自分自身のしがらみを捨て、他人からの評価に気を揉むことなく生きる。

たった1行に収まってしまう割に実践は難しい、わたくしなりの幸せの極意をまた、今回も紹介させていただけて光栄だ。こうして文章を綴り、わたくし自身が頭の中を目視することで「こうしたい、こうでありたい」を再認識している。それもまた、ありがたいことだ。

ご褒美はやっぱり甘いもの!

さて文章を創作するというのは、いささかエネルギーを使う。単刀直入に言うと、何か食べ物が、とりわけ、糖分、あま〜いものが欲しくなる。頑張ったご褒美にわたくしは先日、一目惚れの真っ白いケーキを出先で購入した。フォルムも美しいので、ぜひ皆様と共有したい。

一目惚れしてしまった真っ白いケーキ

頑張ったといえば、巷で話題になり、連日ニュースでも取り上げられているワクチンを、まだ1回目ではあるが接種してきた。これもまた、ありがたい機会であったのだが、副反応への恐怖で鬱っぽくなってしまった。副反応の度合いは個人差があるので、わたくしからはこれから接種する予定の皆様へ「絶対に大丈夫だよ!」と言うことは出来ないが、不安を理解するのはおまかせあれ。

そして、受ける受けないについては完全に個人の判断だとも思う。わたくしも不安定を家族に支えてもらい、接種後、数日経って桃のショートケーキを授与された。こちらは写真を取り損ねてしまった。

連載にも不安がなかった訳では無いが、1ヶ月も経つと自然と読者の皆様へ伝えたいことが湧いてくる上、日々の発見もある。時事問題をうまく取り入れてみよう、とか、やっぱりわたくしにしか書けない体験談を多めにしたいな、とか悩まされつつ、次回も楽しんで書けそうだ。

まだまだ暑い日が続きそうだ。台風やゲリラ豪雨にも気をつけなければならないかもしれない。心も体も忙しない日常で、こまめな水分補給と同様にわたくしの連載で心を潤していただけたら幸せだ。


プロフィール
 
小沼 綺音(こぬま あやね)
2000年3月18日生まれ。東京都出身。「小学生に間違えられる」という見た目とは裏腹にクールで大人びた視点を持つ。リアクションや言葉のチョイスが面白く、番組で共演する芸人からの評価も高い。『青春高校3年C組』では軽音部に所属し、キーボードを担当していた。Twitter(@ayane_karona_ru)