長年飼っている愛犬にあなたは本当に好かれていると思いますか!?  科学的研究により「犬の常識や定説」が覆った現在。犬に本当にウケる(好かれる)ための飼い方を、日本で初めて「人と犬の関係学」の分野で博士号を取得した鹿野正顕氏に聞きました。

※本記事は、鹿野正顕:著『犬にウケる飼い方』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。

親密な関係を築いてくれる唯一の動物

▲犬と幸せに暮らすためには? イメージ:PIXTA

犬と幸せに暮らすためにはどうすればいいのでしょうか。

端的に言うなら「犬の特性と個性をよく理解し、正しい愛情の注ぎ方をすること」。これに尽きると思います。

犬は人が大好きな動物です。自分より偉い(上位の)人にではなく、愛情を注いでくれる相手に思いきり愛情と信頼で応え、忠節を尽くしてくれます。このような関係は、他の動物では味わうことができません。犬は人にとって深く親密な関係を築いてくれる唯一の動物なのです。

ただし、犬を正しく理解していなければ、正しい愛情の注ぎ方もできません。

人間関係でも同じですが、まず相手を理解することがすべての入り口です。犬の習性を知り、犬種の特性を理解することで、自分の生活や性格にマッチしそうな犬がわかってきます。人も犬も、相手がどんなことを好み、どんなことが得意なのか、そうした特徴がわかるだけでもコミュニケーションをとりやすくなるはずです。

また、犬を飼うということは犬を介して社会と接触していくことですから、他人や周囲と協調できない人には犬との暮らしは向きません。犬を飼ううえで、社会一般のマナーや常識に配慮するため、犬のしつけが求められますが、これは犬にばかり求めるのではなく、飼い主自身もモラルのある行動が求められるのです。

▲犬にしつけをする飼い主自身のマナーやモラルも不可欠 イメージ:PIXTA

ただ犬が好きなだけでは飼い主の資格は得られません。飼育に必要な条件が満たされなければ、犬との幸せな暮らしなど望めないのは言うまでもないでしょう。その条件をクリアできるかまず自己診断すること。犬を飼うにあたっては、最低限そこまではしていただきたいのです。

そのうえで、正しく愛情を注ぐために、まちがった古い常識を捨て、正しい最新の知識を吸収し、臨機応変な姿勢をもって、しつけ方や問題行動への対処にも取り組んでほしいと思うのです。

犬と長年暮らしてみると、自分たちが犬にしてあげている以上のことを、犬は私たちに返してくれているという気がしてきます。

大事なのは、飼い主の利己的考えや自己満足を捨てて、犬に対して誠実に向き合うこと。

犬が喜び、犬にウケるのはそういう接し方です。そうすれば、犬はたくさんの喜びをもたらしてくれます。