古舘伊知郎がニッポン放送『笑福亭鶴瓶 日曜日のそれ』に出演。古舘が『トーキングブルース』、鶴瓶が『TSURUBE BANASHI』と、同じ2時間マイク1本、それぞれが恒例となっている人気トークライブを行うふたりは、紅白司会経験者などの共通点も多いが、そのしゃべりの質やテンポはまったくの別モノ。古舘が「少しでも爪の垢を煎じないと」と参考にしている、鶴瓶のしゃべりの“間”や話術について語った。

初対面のおばあちゃんに「なにやってたん?」

古舘は『鶴瓶の家族に乾杯』(NHK)へゲストで呼ばれたとき、鶴瓶のロケのやりかたや、地元の人々との絡みかたに驚いたという。

アナウンサーである古舘であれば、普通は知らないところへいくときに「すみません、NHKですけど」とか「ちょっと、いきなりでごめんなさい」と、まず自分の立場を表明するところから始まるはずだが、鶴瓶が玄関口に出てきた、おばあちゃんにいきなり放ったのは「なにやってたん?」のひと言。

その後も、おばあちゃんの家にズカズカとあがり、当たり前のようにおむすびを作って欲しいとお願いした鶴瓶。それでも、その家族はまったく嫌がることはなく、むしろ喜んでいたそうだ。

古舘は「あれは、いきなり息子が帰ってきた状態になるんですよ。ぼくは“愛情あふれるオレオレ詐欺”だと思いました」と冗談まじりに語りつつも、鶴瓶の人の懐への入りかた、身内のように自然と打ち解ける家族感に感心した。

古舘が見習いたい寿司職人のような鶴瓶の“間”

『TSURUBE BANASHI』を何度も見に行っているという古舘は、鶴瓶の話術についても語った。注目したのは「この前な…。フッ(笑い声)」という、鶴瓶独特の話し出しの“間”で、その瞬間に、これからどんな話が始まるんだろうと楽しくなってしまうという。

その“間”を「一流の寿司職人が握る前に、ポンっと手を叩いたりするでしょ。それでシャリ握って、寿司ダネとって。このポンで沸き立たせてくれるじゃないですか」と表現した古舘。『トーキングブルース』でも、時おり同じ間のとりかたを試してみるそうだが、タンタンしゃべってしまうために上手にいかないそうだ。それに対して鶴瓶は「こんな喋りかたしか、でけへんからや」と照れくさそうに応じた。

なお、トークライブに関しては、終わったあとの様子もまったく違うというふたり。著書『MC論 - 昭和レジェンドから令和新世代まで「仕切り屋」の本懐 -』で、古舘はライブが終わった瞬間から反省を始めると書いているのに対し、鶴瓶は楽屋で「よかったやろ。なぁ、おもろかったやろぉ」と来訪者に話しかけるという。古舘と鶴瓶はトークのテンポだけでなく、トークライブ後の心境も対照的なようだ。