地元で人気の「最高にまあまあ」ならーめん

石川県輪島市。能登半島北部にある人口2万5千人の街である。

のと里山空港からバスで30分、道の駅・輪島に隣接する『輪島市文化会館大ホール』が今日の舞台。いつもは弾丸日帰り旅なのだが、今回は初めて一泊することになったので、気持ちにも余裕がある。

観光案内所でもらった地図を片手に、まずはランチを食べながら、どのように輪島を楽しもうか考えるため『8番らーめん』に向かった。

観光案内所の人が「石川のソウルフードです」と胸を張っておすすめしてくれた『8番らーめん』は、北陸を中心に展開するチェーン店。国道沿いの店に着くと、まだお昼前なのにすでに行列ができていた。

10分ほどの待ち時間のあいだ、隣に並んでいた地元の女性とお話。「8番は塩味が基本。らーめんはもちろんなんですけど、地元民としてはチャーハンと餃子もおいしいので、ぜひ食べて欲しいです。頼むなら、らーめんは小さいのにしたほうがいいですよ。8番は量が多いので」。地元の方ならではの的確なアドバイスに従って「小さな野菜らーめん 塩」「ミニ炒飯」「8番餃子」をオーダーした。

しばらくしてから「8番ゴールデン・セット」とでも呼びたいような3品が到着。まずはらーめんを食べてみる。小サイズとはいえ、たっぷりのった野菜炒めは、シャキシャキした食感が楽しく、とてもおいしい。スープはあっさりしているけど、程よい塩気とコクがある。

ただ、パンチにはやや欠けるため、誤解を恐れずに言えば、兼近さんがよく言う「最高にまあまあ」な味かも。それは裏を返せば「ほっとする味」であり「繰り返し食べたくなる味」ということでもある。餃子もチャーハンもらーめん同様、オーソドックスにおいしい。地元の人が「ソウルフード」と言う理由がよくわかった。これはまた食べたい。

▲北陸のソウルフード『8番らーめん』の野菜らーめん。上にのっているかまぼこは「ハチカマ」と言うらしい。地元民おすすめの炒飯、餃子と合わせていただきます

輪島塗のコラボ商品、1番人気は・・・?

8番をあとにして、街を散策しながら会場に着いたのは13時30分。開場まであと1時間もあるが、今日もいつもと同じく長蛇の列ができている。

14時から販売が始まるコラボ商品がお目当てだ。今回のコラボ商品は地元名産・輪島塗の漆器。なかでも、生地に天然木を使い、伝統的な輪島塗の技法で作られた布袋椀(12,000円)は、なんと限定2個!

EXITのロゴが金粉の蒔絵で描かれており、黒い地色のこっくりとした艶がとても美しい。黒と赤の2色が用意された箸は、品がよくシンプルなデザイン。廉価ということもあり、初めて手にする輪島塗商品としては最適だろう。

他にも手鏡、トレイ、スプーンなどがあった。販売開始からしばらく売れ行きを眺めていたが、一番人気はやっぱり箸だった。

▲限定各1個ずつの激レア・アイテム! 輪島塗のお椀(12,000円)
▲輪島塗のコラボ箸。黒地に金ロゴを買った皆さん、それはりんたろー。とお揃いです

開演を待つあいだ、輪島市役所の方に輪島の「萎えぽよ事情」を聞いた。

「人口は最も多いときで6万人ほどいましたが、今は1/3ほどになってしまいました。輪島は能登半島の奥なので、交通の便がよくないのがネックです。昨年生まれた赤ちゃんはついに100人を切りましたし、人は減る一方です」

そのうえ、市の観光産業も長引くコロナ禍で打撃を受け、さらには街の名産である漆器を使う人が年々少なくなっているという危機感もあるそう。「地域活性化」に賭ける思いの切実さが伝わってきた。