「EVのバッテリーは環境に悪い」の本当

加藤 「EVは環境に優しい」と言われますが、リチウムイオンバッテリーは実のところ環境に厳しいと思います。

例えば、日産はEVにおいては先駆的な取り組みをしていて、廃車後のバッテリーの処理まで考えてビジネスを設計しており、福島にはリサイクル工場もあります。

EVが廃車になったとき、バッテリーをどこに廃棄していくのかは実に大きな問題です。もし、日本のクルマ全部がEVになったとしたら、これは将来、大変な環境問題になります。車載バッテリーという巨大な産業廃棄物をどう扱っていけばいいのか……。

池田 この問題で難しいのは、まだ何も確立されていないということです。

本当に全部の日本車がEVになったときにどうなるか? そんな話をすると、出来る派と出来ない派で対立が起こるわけですよ。スマホやパソコンのリチウムイオン電池とは量が違いますからね。

また、将来的な目標値の話をしているのか、今の話をしているのか、といった時間軸での議論が置き去りになって、いつも話がすれ違ってしまうんですね。

岡崎 リサイクルもそうですし、あとはリユースの議論もあります。使用後のバッテリーを、家庭用の蓄電池として使う方法も検討されていますね。

加藤 2年前のことですが、スマホ・PC・加熱たばこ等で使われる充電池が捨てられて集積される産業廃棄物の処理場で、発火事故が多発しているという新聞記事を読みました。

池田 これは本当に大事なことなんですけど、バッテリーというのは、実によく燃えるものなんですよ。恐ろしいことなんですけど……。

▲リチウムイオン電池の発熱と発煙 イメージ:PIXTA

※『EV推進の罠 「脱炭素」政策の嘘』は、インターネット番組『EV推進の噓』(未来ネット)を元に、再編集を行ったものです(2021年1月〜6月配信。以降YouTubeで無料配信中)。