「行くべき場所」に思えた万世特攻平和祈念館
ひとしきり見終わって、まだ少し時間があったので、朝に加世田駅で会ったおじさんがオススメしてくれた『万世特攻平和祈念館』への行き方を聞くと、福元さんが「ちょっと遠いから連れてってあげますよ」と言ってくださった。お言葉に甘えて車に乗り込む。
そこは文字通り、特攻隊として戦死した若者たちを偲ぶ記念館だ。かつてここに存在した『万世特攻基地』は、終戦間際の4ヶ月間しか使用されなかったが、その間、201名もの若者が出撃し、命を散らすことになった地点である。
館内には隊員たちの遺影や遺品のほか、出撃前夜にしたためた遺書が展示されており、粛々と綴られる両親への感謝の言葉や、体を気遣う言葉が並ぶ。「御国のために死ぬので悲しまないで欲しい」と言った内容も多く、遺書にさえも本音を書くことができなかった彼らの心情に思いを馳せると、涙が止まらなかった。
「特攻で亡くなった方たちはご遺体がないので、ここが彼らにとってのお墓なんです。だから、観光地というよりは、慰霊の場所なんです」と福元さんが言う。旅先ではもちろん「行きたい場所」に行くわけだけれど、その一方で「行くべき場所」というのも確かに存在する。ここはそんな場所である。
福元さんが会場の『金峰文化センター』へ送ってくださるというので、車中で南さつま市のことをさらに教えてもらう。最近では「サイクルシティ」を標榜し、自転車で町を盛り上げようと観光サイクリングロードを作ったり、自転車のイベントを行なったりもしているとのこと。
途中、車を停めて見せてくださった、万之瀬川にかかるサンセットブリッジは、歩行者と自転車専用の橋で、ここからの眺めは素晴らしいのだそう。
寅さんの話も聞いてみると「ああ、『寅次郎真実一路』ね。マドンナは大原麗子、その旦那が米倉斉加年でね……」と言って、あらすじを語って聞かせてくださった。おもしろそうなので帰京してから見てみたのだが、寅さんらしい人情味あふれるストーリーを、加世田や枕崎をはじめとする鹿児島の歴史ある街並みが一層引き立てていて、再び旅情がそそられた。
町の穏やかな雰囲気は、郷土を愛する人たちが醸し出すものなのだとしみじみ感じる。
観光協会の会長が兼近にイグジ・ポーズ
福元さんにお礼を言ってお別れし、会場に入った。さっそく、南さつま市とのコラボ商品をチェックすると、九州ならではのものがありました。「霊峰金峰」という銘柄の焼酎である。
なんとここ南さつま市は、焼酎作りにおける杜氏(酒の醸造を行なう専門の職人)発祥の地でもあるそう。現在は7つの蔵が協力し合って伝統を守り続けているのだが、その「七蔵」のロゴとEXITのロゴの両方が入ったコラボ前掛けは、かなりシブくてカッコいい逸品なので私も一枚購入。
コロナ禍がおさまって再び気兼ねなくバーベキューができるようになったら、これを締めて肉を焼こうと思う。ほかにもサコッシュ、クリアファイル、イヌマキの木で作ったコースター、オリーブの木で作った箸置きがあった。
開場時間に向けてスタッフの皆さんが物販の準備に精を出していると、リハ中の兼近がひょっこり出てきた。そこへ南さつま市観光協会の会長、上村敏弘さんがイグジ・ポーズでご挨拶。「ありがとうございます! ノリいいっすね!」と喜ぶ兼近を見て、周りの人たちの顔も自然とほころんだ。
ロビーには「EXITさんへのメッセージ」として、地元の小学校に通う子どもたちからの絵がたくさん。
「加世田のかぼちゃは日本一」「サンセットブリッジから見る夕日」「楽しいサンドクラフト(南さつま市では吹上浜の砂を使った砂像の制作が盛んで、毎年お祭が行なわれる)」などなど、我が地元の名産品や素敵な場所をEXITの二人に紹介してくれている。
「南さつまに来てくれてありがとう」というストレートな感謝の言葉もあって、改めて、演者の側から遠くまで出向いていくツアーの特別感、そして価値の高さを思い知った。
今回の招聘に尽力した南さつま市観光協会の切通真紀子さんに聞くと、メッセージを書いてくれた子たちの中から20名が、今日のライブに招待されているのだそう。どうりで今日は親子連れが多いと思った。子どもの多いライブは賑やかでありながら、和やかでもあって、とてもいい雰囲気になるので好きだ。
たくさんの子どもたちの前で、EXITはどんなライブを見せてくれるのだろう。
≫≫≫ 明日公開の後編へ続く
〇EXIT OFFICIAL FAN CLUB「entrance」