長谷川の貧乏エピソード「信号機で髭を剃っていた」
――長谷川さんの信号機で髭を剃っていたという話は殿堂入りみたいになりましたね。
長谷川:信号機の話というのは、ボクが夜に牛丼屋のバイトに行くんだけど、ヒゲを剃らないといけない。でも電気代が払えなくて電気が止まってて。で、ボクの部屋が2階の角部屋で、すぐ近くに信号機があった。その光を利用して鏡を見ながらヒゲを剃ったんだけど、赤信号の光って鏡に反射して何も映らなくなってしまうけど、青信号なら何とか映る。つまりボクはヒゲを剃りながら、部屋の中でも信号を守っていた、という話。
渡辺:よく考えると、貧乏エピソードというより、ただのバカエピソードなんだけど
『くすぶり中年の逆襲』(新潮社)より
長谷川 殿堂入りというか……。
渡辺 あの話、誰が話してもいいやつですよ、落語と一緒ですから。なんか信号機で髭を剃った話はみたいな感じで、誰が喋ってもいいやつ。
長谷川 でも、僕も散々テレビでもラジオでも文章でもいろいろ言っていて、もういいよと言われていますけどね。
渡辺 髭剃りジジイだもんね。
――話は変わりますが、渡辺さんが注目している芸人さんはいらっしゃいますか?
渡辺 ユンボ安藤っていう人がいるんですけど、その人がたぶん漫談で日本一面白いんですよ。西口プロレスで実況解説しているんですけど、歳は47歳だったかと思います。この人なんとかなんないかなって思っているんですけど。
――もっと注目してほしいという感じですね。
渡辺 そうなんですよ、はい。
いつか「大怪獣大戦争」をやりたい!
――最後に今後の目標や夢を教えてもらえますか?
長谷川 この1年、いろいろテレビとか出させていただいたんですけれども。レギュラー番組を持ちたいですね。
長谷川 同じ出演者さんと同じスタッフさんで、毎回顔を合わせてモノを作っていくっていう作業に憧れているというか、やりたいなと思いますね。あとは、長くこの世界でやっていきたいなとも思いますね。
――一緒にずっとライブをされていた方たちと、何かしたいとかってあります?
長谷川 あります、あります。千川にあるBeachVというSMAの劇場で「怪獣大戦争」という名前のライブをやっていたのですが、それは隆と僕が呼びたい芸人を呼んで、やっていたライブなんですよね。それで、僕は「大怪獣大戦争」という名前で、でっかい会場でまた芸人を呼んでやりたいなというのが希望です。でも、やっぱりちょっと今の状況だとかで、開催がいつになるのかわからないんですけど。
今年のM-1ファイナルに残っている、ランジャタイとかモグライダーとかも呼んだりとかしてやっていましたし、カミナリとかもM-1行く前に呼んだりとかして。ゾフィーだとか……面白いと思う人いっぱい呼んで。実際、みんな売れていったので、またやりたいなっていう思いはありますね。
渡辺 僕はあんまり夢とかないんですよね、あんまり考えたことなくて。テレビはめちゃくちゃ面白いのでそれは継続しつつ、やっぱりM-1で売れさせていただいたので、漫才に貢献したいという思いはありますね、漫才は続けていかなきゃというか。全国ライブツアーとかしてみたいですね。
――こういう芸人が好きだとか、目標にしている人とかっていらっしゃったりします?
長谷川 尊敬している方はいっぱいいますけどね。テレビの第一線で活躍されている方とかは、やっぱりどの方も尊敬というか、すごいなと思っています。コンプライアンスの中で戦っているというか。
――コンプライアンスはやっぱり気にされています?
長谷川 ええ。でも、今もうコンプライアンスのせいでテレビ面白くないよとか、だから好きなことできないよって言うんじゃなくて、そのルール内でちゃんと面白いことやっている人たちっていうのが、僕は好きなんですよ。だから、第一線で活躍している人たちって皆そうだと思うんで、文句を言うんじゃなくて、それにちゃんと合わせてできるっていうのを僕は尊敬しています。
――限られた制限の中で……それでも面白くやっているっていうところに。
長谷川 はい、それは皆同じ条件ですから、だからそういう面でも尊敬しています。特に誰が目標というのを言われたときに誰だろう?ってちょっと考えちゃうんですけど。テレビのお仕事もして、ライブだとか自分の好きなこともできるような生き方はいいなと思いますね。舞台も大切にしてテレビのお仕事もしている。そういう面で言えば、爆笑問題さんとかサンドウィッチマンさんとか、憧れの生き方かもしれないですね。
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発行:株式会社新潮社