2020年の「M-1グランプリ2020」(テレビ朝日系)で4位に入賞。長谷川雅紀49歳、渡辺隆42歳と最年長ファイナリストとしても注目されブレイク。いまや、“中年の星”としての2人の活躍は周知のとおり。そんな錦鯉の初の自叙伝『くすぶり中年の逆襲』(新潮社)が発売中。12月19日に放送される「M-1グランプリ2021」ファイナリストに選ばれた2人にインタビューを行った。
M-1で人生が変わった!
――今年も「M-1グランプリ2021」決勝進出おめでとうございます。
長谷川雅紀(以下、長谷川) 去年、初めて出させていただいて4位という結果で最終的に終わったんですけど。決勝に残れなかったのはもちろんなんですが、出番が9番目だったんで、ベスト3までが座れる暫定席(3位までのコンビが座れる席)にも座れていないんですよ。あそこにも座りたいな、という気持ちもちょっとあって。だから、今年はもうちょっと早めに、5番から上ぐらいに出て暫定席に座って、さらに優勝を狙いたいです。
渡辺隆(以下、渡辺) 遊園地とかにあるアトラクション全部やりたいタイプなんですよ。
長谷川 はい。だから、損した気分になるので。全部乗らないと。
渡辺 食事のバイキングとかあるじゃないですか? あれも全部食べたいタイプ。
長谷川 少しずつ全部食べたいんです。損した気分になっちゃう。最後まで暫定席狙います。放送で注目してください。そして、優勝も目指します。
――去年のM-1から1年間でまるっきり生活が変わったと思うのですが……。
長谷川 一変しましたね。これもよく言っているんですけど、昨年の12月までお互いアルバイトをやっていて。だから、昨年出ていたファイナリストのなかで、アルバイトをフルにやっていたのが僕ら2人だけじゃないかと。それがもうアルバイトを辞めれてですね、テレビの、メディアの世界でお仕事させていただくようになって。すごい変化ですね、僕が1番驚いています。人生何が起こるかわからないと。
おっさんだから落ち着いて見えるが緊張している!?
――テレビを拝見していても、おふたりとも緊張とかあまりされてないようなイメージですが。
渡辺 いや、しています。
長谷川 しています、しています、めちゃくちゃしていますよ。
渡辺 ただ、おっさんだからあまりそういうふうに見えないんでしょうね。グッという感じが出ないんでしょうね、おっさんって。落ちついて見えるじゃないですか。
長谷川 どうなんですかね? でも、緊張しまくりでしたね、勝手がわからないもので。しかも、これが20代とか若手ならまだいいんですけど、年齢がいっていて芸歴もあるけど、テレビの世界はほぼ初めてだったので。
渡辺 絶対、若いうち売れた方がいいですよ。
――中年の人たちが、きちんとしたポジションにいるわけでもなく、中途入社したりして新しい職場に行って戸惑うとか、頑張っている姿がちょっと共感を呼ぶというところもあるのではないでしょうか。錦鯉さんたちに感情移入している人もいると思います。
渡辺 なるほど。
長谷川 そうなんですかね。
――芸歴は長谷川さん、ほかの方より全然長かったりしますよね。
長谷川 26年とかですよ。芸歴でいえば。
渡辺 サンドウィッチマンさんとかよりも上です。
――皆さんが、本当は長谷川「さん」と言わなきゃいけないようなぐらいの芸歴ですが、どうされていますか?
長谷川 教えてもらっていますからね、テレビの出方とか、どうしたらいいんだろうとか。(若者のほうが)全然、先輩ですよ。達者ですしね。テレビに出ている人は全員すごいですね。こういうやり方もあるんだって、この年になって知ることがめちゃくちゃ多いです。
――『くすぶり中年の逆襲』が発売されましたね、おめでとうございます。会話形式でのやりとり、面白かったです。改めていいタイトルですね。
長谷川 僕も気に入っていますね、このタイトル。
――本書には、おふたりの半生がつづられていますが。特に長谷川さんの幼少期、お父さまが働かれなかったりして大変だったとありますが。
長谷川: 店を乗っ取られた後は、たまに働きに行っても長続きしないですぐに辞めちゃその繰り返しだった。
渡辺:じゃあ、いつも家にいるんだね。
長谷川:一日中、テレビを見て。それもNHKのニュースとスポーツ中継。あとは新聞を隅から隅まで読んでた。ボクが中学の時に、両親のあいだで離婚話が出て、ケンカをした母親が家を飛び出してね。ボクがその後を追いかけて。そうしたら公園のベンチでアルバイト情報誌をめくりながら、お金になる仕事を探していた母親を慰めたこともあったな。
渡辺:うーん、やっぱり大映ドラマの世界だな
『くすぶり中年の逆襲』(新潮社)より
長谷川 その血は受け継いでいるとは思うんですが(笑)。
渡辺 そうですね、のんびり屋さんというか。
長谷川 いい言い方すればマイペース。