EXITと町長がエルボーバンプでご挨拶

三重県玉城町は、伊勢神宮で有名な伊勢市に隣接する人口15,000人の町である。本来は8月のツアー地に名を連ねていたのだが、コロナ禍により延期になったため、ここが『萎えぽよエリアぶちアゲ活性化ツアー』のファイナル地となった。

7月から続いたこのツアーもついに今日で終わり。別動でいろいろな土地に赴いた自分としても、やっぱりそれなりの感慨がある。名古屋から三重に向かう電車の中で思い返すのは、各地で出会った人たちのことや地域の姿だ。いずれもEXITが引き合わせてくれ、EXITが学ぶきっかけをくれた。                                              

▲木造平屋建ての駅舎が味わい深い田丸駅。入り口横にはなつかしの電話ボックス

名古屋から近鉄名古屋線で松阪へ。そこからJR紀勢本線に乗り換え田丸駅に到着したのは朝9時過ぎのことだった。最初に訪れたのは、田丸駅から徒歩3分ほどの場所にある町指定文化財『玄甲舎』。ここはかつての田丸城主、久野家の家老として仕えた金森得水(かなもりとくすい)が、江戸時代後期に建てた自身の住居兼茶室である。

瀟洒(しょうしゃ)な日本家屋はモダンな印象さえあって、とても品が良い。座敷からは手入れの行き届いた庭が見渡せ、目を楽しませてくれる。江戸時代の建物だけに、以前はどこもかしこも傷んでいたそうだが、平成27年に町をあげての修復プロジェクトが立ち上がり、可能な限り創建当時の趣を残すように修復されたとのこと。

和風建築の粋を詰め込んだような家屋で、しばしゆったりとした時間を過ごした。午後にはEXITの二人もここを訪れ茶道を体験、その様子は玉城町観光協会のインスタグラムで見ることができる。

▲田丸駅から徒歩3分ほどの場所にある
▲EXITが茶道体験した玄甲社の茶室。座敷からは庭が見渡せ、四季折々の風景が楽しめる

私が玄甲舎を見学していたとき、偶然にも玉城町長の辻村修一さんが訪れており、町の実情について聞くことができた。

「萎えぽよエリア」を募った今回のツアーではあるが、玉城町の過疎化は深刻ではなく、むしろ小さな町にしては若い人の比率が高いのだそう。交通の便も良く、パナソニックや京セラなど大企業の工場があって税収が安定しているため、福祉や教育、子育てにおける支援も手厚いことが背景にあるようだ。

辻村町長は「もちろん、地方都市ならではの課題はあります。今が良いからと言って油断せず、常により良い町を作るための取り組みを続けていきます」と語っていた。今回のツアーも、住民の郷土愛を高め、県外の人に玉城町の良さを知ってもらうため、なんと県外からのお客さんのために、この日限定でJRの増便を要請したとのこと。まさに町をあげてのおもてなしだ。

▲玉城町長を4期16年務める辻村修一さん。手にしているのは玉城町オリジナルのコラボうちわ

町長が「このあと、EXITさんに挨拶することになってるから一緒に行きましょう」と言ってくださったので、私はなんと町長ご本人が運転する車で会場入りすることに!

「小さな町ですからね、専用の運転手なんておらんのです」と笑う町長はとても気さくで、道中も話が弾んだ。EXITとのファーストミーティングでは肘と肘をぶつけあう「エルボー・バンプ」で兼近と挨拶。ノリがよくって最高です。

▲ファーストコンタクトでエルボーバンプをかましてきた兼近に、エルボーで応える町長

兼近が天守閣で絶叫、天下を治める!?

まだ公演開始まで時間あるので、会場から少し離れた駐車場で開催されているマルシェをのぞく。そこには玉城町のオリジナルツアーグッズをはじめ、「伊勢うどん」の『ミエマン(西村商店)』、お弁当の『acatoki』、たいやきの『わらしべ』といった店が並んでいた。

▲コラボ・パッケージの伊勢うどんとつゆ。伊勢うどんは太くてふわふわした独特の食感

まずは、たいやき『わらしべ』さんのコラボメニュー「ソーセージ×たいやき~タルタルソース」をチェック。これは組み合わせからして絶対おいしいやつである。焼きあがったアツアツのたいやきを一口。皮がパリッ、中がモチっとしていて食感がとてもいい。旨味の爆弾みたいな肉汁が詰まったソーセージとタルタルソースの相性も抜群だ。

代表の福田圭さんに話を聞くと、『わらしべ』はもともとベアリング工場を営んでいた福田さんのお父さんが、趣味でたいやきを作っていたことから始まったそう。2008年のリーマンショックで本業がヒマになり、本格的にたいやき店にシフトしたところ、今では国内に23店舗を展開する全国チェーン店になった。クセになる皮の食感が忘れがたく、これはぜひともまた食べたい。そう思って、帰ってから東京の店舗を検索した(2店ありました!)。

▲たいやき『わらしべ』の「ソーセージ×たいやき~タルタルソース」。ソーセージは「ふるさと味工房アグリ」のもの。ジューシーで美味でした

次は玉城町のオリジナルグッズを販売するブースへ移動。Tシャツ、フェイスタオル、アルミキーホルダーと玉城町のキャラクター「たままるくん」のクッションが並ぶ。売れ筋は田丸城の石垣をモチーフにした柄のタオルだそうで、胸の前で腕を交差するイグジポーズをたままるくんがカワイイ。

▲クッションとタオルには玉城町のキャラクター「たままるくん」が描かれている

ブースの前で、マルシェの様子を見に来ていた町長に再び遭遇。町長は県外からのお客さんに「どこから来てくれたん?」「玉城町はどうですか?」などと気さくに声をかけ会話を楽しんでいた。

私にも「これからお城で名産品の撮影があるよ。上からの眺めは最高だから、ぜひ見てって」と言ってくださったので、そこから歩いて5分ほどのところにある田丸城跡へ向かう。天守跡は高台にあるため、町長の言う通り素晴らしい眺望だ。天気が良いこともあって最高の気分。城壁の横では観光協会の皆さんが、鍋やうどんの用意をしてEXITの到着を待っていた。

ほどなくして現われたりんたろー。と兼近は、まず町長の案内で城に上がった。もっとも、田丸城は火災により消失してしまっているため、今はその姿はない。現在では夜のライトアップ用に、城の型を模した巨大な張り子が城壁に乗せられている。

張り子を支えているのは工事現場などで使う鉄骨なのだが、兼近は細い足場をものともせず、グイグイと上を目指していく(たぶん地上6~7メートルはある)。てっぺんまで上った兼近は、天守閣から眼下を見渡し「これが天下だぁ!」と絶叫&大興奮。高いところが苦手なりんたろー。は一番上までは行かずに、下から兼近に「気をつけろよー!」と声をかけていた。

▲田丸城天守跡。夜は城部分がライトアップされ幻想的な風景となる
▲天守閣に立つ兼近。青空にひときわ映えるピンク!

続く名産品の紹介ロケでは、玉城豚のしゃぶしゃぶや伊勢うどんに舌鼓。特に伊勢うどんは普通のうどんとは異なり、コシがなくフワフワした食感なので、りんたろー。は「なにこれ! 食べたことない感じ!」と驚きながらも絶賛していた。

おいしそうに食べるばかりか、食材や料理の特徴を的確に表現し、地元の人に積極的に質問もする二人。これ以上ないほどのリアクションをもらえて、準備した人たちが満面の笑顔になる。このツアーではこんな魔法のような瞬間を何度も見せてもらった。

▲名物の伊勢うどんや玉城豚のしゃぶしゃぶを味わう二人

開場時間が近づいて来たので、公演が行なわれる玉城町立玉城中学校に入る。今日が最終日ということで、体育館のバルコニー部分にはツアー完走を祝う横断幕が掲げられていた。