ご飯がすすむ、若狭名物の「へしこ」
EXITの萎えぽよツアー13ヵ所目の地、福井県小浜市は県南西部に位置する人口29,000人の街である。2009年にアメリカ合衆国第44代大統領としてバラク・オバマ氏が当選したときは、同じ名前ということで注目を浴びたが、もともとは若狭塗や若狭和紙などの伝統工芸で知られる古都だ。
そんな小浜市でのツアーは、当初2021年8月22日に開催予定だったのだが、新型コロナウィルスの影響で順延となり、ツアー最終日前日の11月13日に行なわれることになった。
小浜駅に着いたのは11時近くのこと。まずはいつものように観光案内所に飛び込み、地元の人がオススメするスポットを聞く。スタッフさんが地図を指しながら、ライブの開場時間までに行けそうなところを2~3挙げてくれたのだが、私が散歩が好きだと伝えると「それなら歴史的な街並みを残している地区があります。街歩きならここですね」と、「小浜西組」というエリアを教えてくれた。
ちなみに「食べるべきもの」は、一も二もなく「鯖」との答え。そう、小浜は鯖が名産で、そういえばご当地マンホールにも鯖の絵が描いてあった。散歩は午後にするとして、まずは腹ごしらえとばかりに紹介してもらった『海幸苑』という、小浜港の近くにある食事処へ向かう。
『海幸苑』でオーダーしたのは、鯖の醤油干し、へしこ、ぬた、刺身と一通りの鯖料理が楽しめる「鯖膳」。若狭名物の「へしこ(=塩ぬか漬け)」は有名なので、てっきりメイン級のおかずだと思っていたのだが、実際は醤油干しの横にほんのちょっぴりだけ添えられていた。
「えっ、これだけ?」と思ったが、ひとかけら口に入れてびっくり! 質量に対して味のインパクトがかなり強い。平たくいえば、しょっぱい(笑)。これはご飯が進むね。鯖のぬたも初めて食べたが、おいしい脂が染み出てきて、とろけるような食感が最高。あと、鯖ではないがカンパチの刺身もとんでもなくおいしかった。
鯖をはじめとする小浜の豊かな海の幸を堪能したあとは、そこから歩いて2分ほどのところにある施設『御食国(みけつくに)若狭おばま食文化館』に向かう。同じ建物の中に、今回EXITを招聘した温浴施設『濱の湯』が入っているのだが、まずは1階の食文化館の展示から見学。
日本の食文化をさまざまな角度から紹介・解説する施設の展示には、たくさんの食品サンプルが使われていて、それらの精巧ぶりを見るのも楽しい。特に季節ごとの郷土食を交えた食卓の再現には、家族が和やかに語らう声が聞こえてくるようで、ほんわかとした気分になる。
知識的なことよりも、食べることの楽しさや、食を通じて結ばれるつながりを伝えることを重視している印象で、こういう見せ方のほうが本来の意味の「食育」には効果的だなと感じた。
ちなみに、EXITの二人もライブ後にここを訪問、その様子はYouTube「越のゆグループ」のチャンネルで見ることができる。
EXITの二人が入浴した「チャラ風呂」
施設の2階は、若狭塗や和紙作りなどの伝統工芸が体験できる工房になっていて、この日も子どもたちが集まって工作をしていた。階段の片隅には、小浜市と同名のオバマ大統領のスチレンボードがひっそりと置かれている。心なしか寂しそうなのは気のせいか……。
3階の『濱の湯』に上がると、萎えぽよツアーのコラボタオルとコラボメニューが販売されており、この日は昼までに10名ほどのジッターが来訪して、二人がセレクトした「ヤバかわトッピングSHAKE」を注文したそうだ。シェイクはりんたろー。がセレクトした、ちょっと大人っぽい味のアイリッシュコーヒーベースのフレーバー。兼近セレクトがストロベリーフレーバー。飲んだ人に聞いたら「両方ともかなり甘かった」そうです。
お風呂の中はさすがに取材できなかったのだが、EXITの二人がピンクのお湯の「チャラ風呂」に入浴する様子は、EXIT Charannel(二人のYouTubeチャンネル)をぜひチェックしてください。
昼食後はタクシーで小浜西組へ。以前は茶屋街だったというこのエリア、いわゆる「和モダン」な雰囲気で、スタイリッシュながら歴史を感じさせる街並みに心ときめく。埼玉の川越や、岡山の倉敷川畔などと同様、街並みごと国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されているというのも納得だ。
各々の家の軒に下がっている、赤いお手玉をつないだような飾りものが気になったので聞いてみると、これは「身代わり申(みがわりさる)」と言って、この地方に伝わる魔除けなのだそう。お手玉みたいと思ったものは猿を模したもので、帰京してから調べてみたら、奈良にも同じ風習があった。現世利益を叶える「庚申信仰」にまつわるものだから「申(さる)」というわけなんですね。千本格子の建具が特徴的な、洒落たお屋敷群を眺めながら、短い散歩を楽しんだ。