2020年代に入り、NASAをはじめとする宇宙機関が、地球にもっとも近い惑星である火星の探査を進め、次々と新発見が報告されているのはご存知でしょうか? 惑星探査機「はやぶさ」の開発メンバーでもある齋藤潤氏が、現時点で火星についてわかっていることを解説します。

※本記事は、齋藤潤 :​著/渡部潤一:監修『本気で考える火星の住み方』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。

火星の1年は687日、1日は24時間37分

火星は私たちの地球と同じ、太陽の周りを回る太陽系の惑星です。そして地球のすぐ外側を回っています。

▲太陽系の惑星 出典:Gomolach / PIXTA

火星の特徴は、とても赤い色をしているということです。地球と火星が接近していると、とても明るく見えるようになり、夜空に赤い星が目立つように輝いていることがわかります。

地球~太陽間の平均距離を1天文単位と呼びますが、火星の軌道は平均1.5天文単位の半径を持つ軌道です。そして、火星は半径が3,400キロメートル程度で、地球(赤道付近の半径は約6,370キロメートル)と比べるとかなり小さい惑星です。

地球と比べると半径がほぼ半分程度で、同じ岩石惑星といっても惑星自体が小さいため、表面の重力は地球の40%程度です。

自転する周期は地球とほぼ変わらず、地軸の傾き(太陽系の北極からの傾きという意味です)も地球とそう違いません。ですから、小さいとはいっても地球とよく似た状態の惑星だといえます。

公転周期1年の地球では、北半球が太陽に近くなるときに夏になり、北半球と南半球間の季節も1年周期で入れ替わります。地軸の傾きが地球と同じような火星も、北半球が夏なら南半球は冬というわけです。すなわち火星にも、地球と同様「季節」が存在します。

火星は地球より太陽から遠いので、ケプラーの法則に従い公転周期が地球より長く、1公転周期(つまり火星の1年)は687日になっています。 

火星は24時間37分ほどで1回自転するので、24時間で自転する地球と似ています。地軸の傾きも地球とほとんど変わらないため、地球と火星はサイズと太陽からの距離こそ違っていても、お互いに似た環境にある惑星ということができます。