結果を出したいとき、あなたはどうしますか? 劇的に現状を変えるような必殺技は、残念ながらありません。でも、意識したプラスαを積み重ねることで、気づけば結果が出ていた、なんてことはあるのです。元芸人で、年間200回を超える講演・研修会を開催する夏川立也氏に、すべての人間関係に役立つ実践的コミュニケーション術を教えてもらいました。

※本記事は、夏川立也 :​著『人気番組で前説を10年も任された元芸人が教えるコミュニケーション術』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。

心のハードルを下げるジョークシリーズ

昔、桂三枝さんと一緒に、いつでも誰でも、どこでもできるような簡単なジョークがあれば、無茶ぶりされたときに使えていいよね、ということで、簡単にできるジョークシリーズを作ったことがあります。

その中の一つに「独り言シリーズ」というものがあります。これはモノが独り言を言うとどうなるかという、簡単な一発親父ジョークです。笑おうと思って聞いてください。

まずは消しゴムの独り言……。「ワシも、丸なったなぁ」

続きまして、豆電球の独り言……。「ワシもしまいに、キレるで」

シリーズを変えましょうか。次は子どもの日記シリーズです。子どもが日記を読んでいる感じでジョークを言うシリーズです。ちょっとブラックジョークですけど、怒らずに聞いてください。

まずは、タイトル「おばあちゃん」。

「昨日、おばあちゃんがボケ防止の本を買ってきた。……今日も買ってきた」

おばあちゃんがあると、おじいちゃんもないと怒られます。セットになっています。続きまして、タイトル「おじいちゃん」。

「昨日、おじいちゃんが犬を捨てに行った。……犬だけ帰ってきた」

続きまして、ゲームもご紹介したいと思います。飲み会とかコンパで、初対面の人と良い関係を築きたいとき、アイスブレイク的にできるコミュニケーションゲームを知っていると便利です。

その中のひとつに、十回クイズというものがあります。例えば「ピザピザピザ……」と十回言ってもらって、肘を指差して「ここは?」と聞くのです。そうすると相手は思わず「ひざ」と答えてしまいます。

他にも「平山平山平山……」と言ってもらって、世界で一番高い山は? と聞く。そうすると「ヒマラヤ」と答えてしまう(正しい答えは「エベレスト」)。

「ニシンニシンニシン……」と言ってもらって、赤ちゃんを産むことは? と聞く。そうすると「妊娠」と答えてしまう(正しい答えは「出産」)。そんな感じです。

相手に協力しようと思っていただけるだけで、感情が動きやすくなり、行動につながりやすく、笑ってもらいやすい状態ができあがります。

仕事の結果がほしいなら空気感を変える

私はこの仕事を始めて15年、年間200回の講演を10年間やりました。いろいろな場所に行って、たくさんの人にお話をしますが、共通点があります。皆さん、すぐに結果を求めます。業績が、数字が、安全が、とね。

私からの投げかけは「コミュニケーションの状態はどうですか?」「職場のムードは?」「営業の数字を言う前に、営業チームの雰囲気はどうですか?」、そういったことを意図的に改善するだけで、結果はついてくるんです。まるで底が上がるようにね。そんなお話をして回っています。

ひとつ押さえていただきたいのですが、コミュニケーションにはパターンがあります。誰もが状況に応じて、相手に応じて、自分はランダムに行動していると思っていますが、全くもってそんなことはなくて、誰もが自分のパターンに則って、決まったことしかやっていないのです。これが問題です。

このことを理解したうえで、やっていなかったけれどやったほうが良いこと、わかっているけどできていなかったこと、それをやると決めてやることが大切です。誰もができることしかできません。

この当たり前のプラスαを行うときに、同じくらいに大事なことがあるのですが、ほとんどの人が意識できていません。それが、どういう状態でやれるかです。どういう場で、どんな雰囲気を醸し出しながらやるか。

例えば、お客さんに対して同じ働きかけをしたとしても、醸し出す雰囲気みたいなものや、話しかける場所が違うだけで、相手の反応は変わるんです。

「状況が悪ければ、ピザピザ使えませんよ」とよく言われます。でも、それをそのままやってください、ではありません。

意識していただきたいのは、相手の感情に意図的にプラスの変化を与えることです。これは大事なキーワードです。当然、今までも誰もがやっています。でも、それは無意識にやっているはずです。無意識にやっていることを無意識に続けても何も変わりません。

意識して少しずつプラスαして増やしていく。そのために芸人さんが何をやっているかを一般化します。そして、それをTPOに応じて、自分なりにアレンジしていただければと思います。

▲雰囲気や場所で反応は変わる イメージ:EKAKI / PIXTA