ハルキストだった高木
ジョイマンは東京NSC8期。同期はスリムクラブ、こりゃめでてーな、尾形貴弘(パンサー)、キャベツ確認中など、独特の芸風で知られる芸人が並ぶ。そのなかでも、ジョイマンはNSC在学中からラップネタで注目されるまでは、特に目立つことのない存在だったそう。「ナナナナ~」で知られるラップネタは、どのようにして生まれたのか。
「最初は正統派漫才師に憧れて普通の漫才をやってて、全然ウケなかったんです。あのラップネタは、最初、その漫才の中の1個のボケだったんです。当時はランキング形式のライブがあって、次ダメだったらそのランキングから落ちるってときに、やるネタがなくて……。じゃあ、もう考え方変えるしかねえな、ラップで1本作ってみようかな、って軽い気持ちで作ったネタです。お酒も入ってたし(笑)」
「相方の池谷は、出るまでずっとピンときてなかったですね、“面白いの? これ?”って言ってました。そんなこと言われても俺もわかんない(笑)」と高木は笑ったが、ラップネタで出た最初のステージで、ジョイマンはこれまで聞いたことのないほどの爆笑を起こし、ほどなくして「爆笑!レッドカーペット」の出演を期に大ブレイクを果たした。
老若男女が楽しめるジョイマンのネタとは裏腹に、高木のツイートはどこかしっとりしていて、そのなかにクスッとくる笑いが散りばめられている。非常にウェルメイドだ。
3歳の娘を高い高いしていると上からジッと僕を見て「今日お仕事ないの?」とポツリ。娘がぐっと重く感じた。(2014年7月27日)
少し前にVTRで出演させていただいた日本テレビ「解決!ナイナイアンサー」の前説をやらせていただきました。最近、過去に本編に出演していた番組の前説をしていることが多いジョイマン。不思議な時空のねじれを感じるというか、何でしょう、何か『世にも奇妙な物語』みたいですよね。(2016年5月20日)
三十代は働き盛りだって聞いてましたけど、あれですね、人それぞれですね。(2017年3月3日)
そのまま出せば、ただただ同情を買うような出来事を、しっかりとした文章力と構成力で面白い表現に変えてしまう。その高木の価値観や発想の源流はどこにあるのか、一番影響を受けた人物について聞いた。
「うーん、いつもだと“エミネム”って言うんです。ネタでも使わせてもらって、前にアルバムが出るときには宣伝隊長もやって。ただ、本当のことを言うと、一番影響を受けているのは村上春樹さんなんです」
なんと、高木のあの哀愁たっぷりのツイートの源流は、村上春樹だった。ジョイマンのネタのみを楽しんでいる人には信じ難いかもしれないが、彼のツイートがまとめられているこの本を読めば、その影響の一端が垣間見えるだろう。改めて読むと、村上春樹独特の海外小説を翻訳したような文体は、高木のツイートにも影響を与えているように感じる。
「ほぼすべての作品を読んでると思います。一番好きなのはデビュー作の『風の歌を聴け』ですね、これまで何回も読み返してます。僕なんかが生意気なんですけど、まだ文体が定まってない感じがして、そこがすごく好きです。僕は中退してしまいましたが、村上さんとは大学も同じ早稲田。実は、ツイートも読む人が読んだらわかるんじゃないかって思って書いてたんです。自分で読んで、モロじゃんって思ってたくらいなんですけど、今まで指摘されたことはなかったですね……はい(笑)」
村上春樹に関していうと、今回の出版にあたって偶然があったという。
「たまたま、この本の装丁をしてくださった方が、村上さんがジャズ喫茶を経営していたときに、そこでバイトをしていた経験のある方だったんです。それこそ『風の歌を聴け』を書いていた頃だと思うんですけど、すごくうれしかったですね」
≫≫≫ 明日公開の後編へ続く
前回は0人、今回は「ななななー」77人が目標! 果たしてお客さんは来てくれるのか……?
【サイン会概要】
日時:2022年5月28日(土) 15:30~
場所:町田モディ4階イベントスペース(〒194-0013東京都町田市原町田6-2-6)
11:00 町田モディ1階店頭にて整理券配布(参加者が最大100人に達し次第終了)
15:30 サイン会スタート
17:00 終了予定
【物販コーナー】
会場では高木晋哉:著『ここにいるよ』のサイン本と、ジョイマンのリリックTシャツを販売。どなたでもお買い求めいただけます。特典として、お買い上げの方にバッジを1点プレゼント! さらにサイン会参加予定の方は、購入時に整理券のご提示でジョイマンとの「写真撮影券」をお渡しします! サイン会の際にスタッフに整理券と撮影券をお渡しください。販売時間14:00~17:00終了予定。(商品、ノベルティともに数に限りがございます)