昼間のルノアールで飲む背徳のビール
東京駅から総武線快速で10分ほど、東京の東端、葛飾区に新小岩という駅があります。駅前はきれいに整備されているけど、どことなく猥雑で、当たり前のようにいい飲み屋がたくさんあって、私の好きな雰囲気を湛えた街です。こういう駅にはきっといい喫茶店がきっとあるはず。さっそく行ってみましょう。
新小岩の駅を降りると、なんだか懐かしい匂いがしました。なんだろう。しばらく考えた結果、私の地元の蒲田と同じなんだと気がつきます。駅前は整備されてきれいだけど、この街の持つエネルギーを押し隠せない。さぞかしエキサイティングな街なんでしょう。
この街のランドマークとも言える駅前ビル。その2階には昔からこの地にあるのでしょう、年季の入ったルノアールが静かに営業を続けています。
しかも、こちらのルノアールはなんだか一風変わっているようです。見てください、店頭のメニュー看板を。ミックスフライにサバの塩焼き。なんだかわくわくするじゃありませんか。
店に入ると、そこには私たちがよく知るルノアールとは、まったく違う空間が広がっていました。
壁一面が大きな窓になっているので、明るくとても開放的。都心のルノアールはスーツ姿の男性が多いような気がするけど、こちらは年配の方が多い。というかスーツ姿のお客さんは1組しかいない。夕方という時間帯もあるんでしょうが、これはこの店の特徴のような気がしました。
なんだか落ち着くな。私は店に入ったときから決めていたメニューをオーダーします。
店内を見わたすと、一人客のほとんどが新聞か雑誌を読んでいます。店内の一角にマガジンラックがあったので、私は時代劇の漫画を手にしました。1話読み切りタイプではないのがうれしいな。ここでじっくり腰を据えて読み進めようという気になる。
幸い今日の仕事を終えた私には時間があるし、目の前にはキンキンに冷えたビールもある。すでに自分の中の幸福度は爆上がり。ビールと時代劇漫画を手に、私は飲兵衛マラソンの第1区を走り始めました。
未知のお店で第1区を快調に飛ばす私。先頭集団がゴクゴクと私の喉を駆け抜けていきます。はあ。この日は暑かったから、すこしハイペースでいいくらい。次のドリンクは何にしようとメニューを見たら、2杯目からは100円引きと書いてある。きっと長居してもいいということでしょう。
花の2区で満を持して登場したのが、サバの塩焼き定食です。しっかりときれいに焼き色がついて、おいしそうだ。エースの風格がありますね。メインと一緒にドレッシングやソース、しょうゆも一緒に運ばれてきました。そうか、テーブルに調味料を常備してないのか。そんなささいなことで、ここが喫茶店であることを思い出します。