充実した洋食のラインナップ

人間というのは思い立ってから行動に移すまで時間がかかるものです。散らかった部屋を片付けなくちゃ、と思ったまま1週間が経過したり。

その一方で、脳が判断するより体が勝手に動いてしまうときがある。たとえば蒸し暑い日の夕暮れに、駅の改札を抜けた瞬間に喫茶店を見つけたときがそれだ。小腹を空かせているあなたを、肉の焼けるいい香りとビールの誘惑が誘う。今日はそんなお店の話です。

▲改札を抜けたらそこはマリモだった

新井薬師という西武新宿線の駅があります。JR中野駅から北へ1キロほど行った辺りにあって、静かでのんびりとした街です。高田馬場から数駅ですが、急行が止まらない小さな駅だから、用事でもない限り訪れることはありませんでした。

『マリモ』は改札前にある小さな喫茶店です。ほら、改札の中からも緑の外観が見えるでしょう。あそこです。

お店というのはどんな業種であれ、アクセスがいいに越したことはないでしょう。飲食店は人の流れが大事で、大手チェーンは開店までに長い時間をかけてデータを取ると言います。60年前から続くというマリモは、改札から徒歩5秒の嘘みたいな利便性です。

▲緑がきいたファサード

この店は改札の目の前なんですが、意外と利用する人は限られるのかもしれない。というのも、あまりの便の良さゆえ、改札を出て「今夜は何を食べよう」、そう思った瞬間に通り過ぎてしまうから。でも、ご覧ください。店の前に吊るされた黒板に書かれたメニューの豊富さを。

食事が充実していて、お酒も飲めるみたい。いい店の予感がプンプンとするじゃありませんか。単身者も多く住む街ですから、帰宅途中にここで夕食をとるという方も多いのでしょう。

▲洋食の種類の豊富でうれしいですね

外にある看板に書いてあった「日替わりサービス定食」が気になって、カランとドアを開けると「いらっしゃい」の声。先客は数人。

店内は思ったより狭くて、ベタな表現をするとウナギの寝床みたい。奥で常連さんらしき女性が話し込んでいます。

現在夕方の5時。まだ夕飯には早いけど、昼ごはんを食べる時間がなくてお腹がすいていたから、しっかりとした食事がとりたい気分でした。