振り返ってみれば、コロナが世界と飲み屋を苦しめた1年でした。閉店時間を早めるだけの意味のわからない禁酒法でお店は苦しみ、酒飲みは酒を求めてフラフラと彷徨い続けた。当たり前のように飲める毎日がもう、すぐそこまできているのかな。明るい未来に思いを馳せて、今日も飲みに行きますよ。

一人頼むと「俺もお願い」の声が続く名物刺盛

▲地下鉄神保町駅から徒歩1分

神保町にある『あつ盛』は、2年ほど前にオープンしてから、あっという間に人気になった立ち飲みスタイルのお店です。都心のオフィス街にいきなり現れた立ち飲み店が、人気を獲得した理由は、おいしいつまみとリーズナブルな価格にありました。

▲早い時間から酒を飲む人生の勝者たち

店内は4坪くらいかしら。カウンターとテーブルがいくつかあって、常連さんが肩を寄せあいグラスを傾けています。皆さん早い時間から楽しそう。ラフな格好だけど、皆さん紳士然としている。これは神保町という立地にもよるのでしょう。

▲本日のおすすめ。魚がいいようです

おすすめは刺身なんだと、カウンターの中でキビキビ働くお姉さんから推薦がありました。豊洲で仕入れているという鮮魚は、常連さんのほとんどが頼むらしいから、味はお墨付きですね。

それにしても値段がお安い。一人前で400円。二人前だと600円。人間というのは、いや酒飲みというのは、安いとうれしくなっちゃう。ああ、育ちがわかってしまいますね。反省。とりあえず、刺身とお酒をオーダーしましょう。

▲昼から酒が飲める人生を私は選びました

酎ハイは400円。中身と炭酸水が提供されるスタイルで、500mlのペットボトルに入った炭酸で3回は利用できるので、中身250円をおかわりすれば、リーズナブルに楽しむことができます。

ということで乾杯。

この日は17時オープンでしたが、仕込み次第で早く口開けする日もあるとか。お日様がどんどん高くなっているので、外が明るいうちから酒を飲む抵抗感も、だいぶ減ったのではないでしょうか。ちなみに、抵抗感があるうちは、まともな人生を歩んでいる証でもあります。

▲お刺身を盛り付け中

私が刺身を頼むと、「俺もお願い」という声が周囲のお客さんから上がります。お姉さんはネタケースから取り出した魚を1枚ずつカットして、丁寧に盛り付けます。値段が安いからといって、決していい加減な仕事をしてないことがよくわかります。

たくさん種類の魚を盛り付けるから、提供まで少し時間がかかる。このメニューは手間がかかることを知っている常連さんたちは、誰かが頼むきっかけを大事にして、仕事の手間を減らしているんでしょう。お客さんがやさしい店は、いい店に決まっていますよね。

▲こちらが刺身盛り合わせ二人前600円なり

数えるだけで8種の刺身が乗っています。ウニもあるよ。すごいボリュームに驚きの価格。「なんだこれ」と驚いていると、店員はもちろん、常連たちも「どうだ」とばかりにうれしそうな顔をしています。みんな、この店が大好きなんだ。

まずはシメサバで一杯飲む。うん。わかってはいたけど最高にうまい。思わず酎ハイが進んでおかわりを頼む。このシメサバだけで5杯はいけます。刺身を食べれば、店の料理のレベルの高さがわかるといいますが、刺身は立派な料理なんだと改めて感じます。