若手選手と一緒にボールを追いかけたベテラン時代
3年目になると、落合さんが引退したため空いたファーストのレギュラー争いに参戦し、そこでレギュラーの座を確保しました。
今でこそ珍しくありませんが、当時は画期的と言われた「バントをしない2番バッター」として売り出してもらって、自分自身に勢いがつきました。いろいろなツキがありました。上田監督には感謝をしてもしきれません。
このように、プロ入り直後から一軍で使ってもらえたため、私の二軍経験と言えば、若手時代よりもベテラン時代、現役晩年のほうがよっぽど多かったといえます。
ジャイアンツ時代の2012年、13年、ドラゴンズ時代の14年、15年は、日中にファームの試合に出場する日々でした。
朝早くから練習のために集まり、昼間、真っ黒に日焼けしながら、若手選手たちと一緒にボールを追いかけました。
そこで得た経験は、二軍監督になってから大いに生きました。たとえば私と同じように、30代後半以上の選手が再調整してこいと二軍にきたときは、自分自身も経験しているから、どんな気分でいるのかは手に取るようにわかります。どういう言葉のかけ方、接し方をすればいいのかもわかります。
その経験がない人に比べれば、ひとつ多く引き出しがあります。自分が経験したことなので、説得力をもって話ができると思うのです。