素晴らしい楽曲は時が経っても色褪せることはない
2022年5月27日に話題の映画『トップガン マーヴェリック』が公開され、あちらこちらで前作でも使用された名曲『デンジャーゾーン』を耳にすることが多くなった。35年以上が経過しても、本当に素晴らしい楽曲はまったく色褪せないものだな、と改めて思い知らされた。
と、それっぽいことを書いてはみたが、じつは『トップガン マーヴェリック』はまだ鑑賞していない。『シン・ウルトラマン』と『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』を優先してしまったので(というか、令和の新作映画の話をしているのに、すべてのタイトルの昭和感が満載すぎる! アラフィフおじさん大勝利の巻!)、まだ見ることができていない、というか前作の『トップガン』すらも見たことがないのだ、恥ずかしながら。
しかし『デンジャーゾーン』に関しては、もう何百回、いや何千回と聴いているし、思い入れも強い。なぜならば、プロレス会場で流れていたから、である。
有名なところでは全日本プロレスの渕正信。いまも現役バリバリで90年代からずーっとこの曲を入場テーマとして使用しているので、まさに30年モノ。あの旋律が流れてくると、トム・クルーズよりも背中に大きく「渕」と書かれたジャンパーで入場してくる渕正信の姿を思い浮かべてしまうプロレスファンは、僕だけではないはずだ。
だが、個人的には渕正信のテーマ曲というよりも、伝説のカルト団体・W★INGの全選手入場式の印象のほうが強い。
その昔、いわゆるインディー団体では、試合前に全選手入場式といわれるセレモニーをおこなうケースが多かった。これは、新日本や全日本といったメジャー団体と比べて選手数が圧倒的に少なく、メジャー団体がひとつの興行で8〜9試合は組んでくるのに対し、インディーでは5〜6試合でも組めたら上等、という問題が関係している。そう、入場式をやることで1試合分の尺を稼いで、観客にお得感を与える、という効果があったのだ。
おそらく定番化させたのは、1988年に旗揚げした新生UWF。旗揚げ戦で3試合しか組めなかったこともあり、入場式は必須だったのだが、そこで飛び出す前田日明の名言が話題となり、ひとつの目玉商品に化けていた。後発のインディー団体として、その流れに乗らないわけにはいかなかった。
ただ、W★INGの入場式は、とにかくレベルが違ったのだ! なぜなら、出てくるメンツがすごい、すごすぎる!!
“猟奇殺人犯”レザー・フェイス(チェーンソーをぶんまわしながら入場)、“13日の金曜日”ジェイソン・ザ・テリブル、“エルム街の悪夢”フレディ・クルーガー、そして“極悪大王”ミスター・ポーゴ!
こんな面々が次から次へと登場するさまは、まさに「地獄のエレクトリカルパレード」。しかも、みんな基本的に場内を徘徊しまくる。ギッシリ超満員の後楽園ホールでは逃げ場がなくてパニック状態だし、ガラガラの地方会場だと逃げても逃げても怪奇派レスラーが追いかけてくるという恐怖。初見のお客さんに対しては「これからとんでもないことが起こりますよ」という予告編にもなっていて、いつしかW★ING名物となっていた。