共演の高校生に「好きな子いるの?」
――撮影中、印象に残った出来事はありますか?
宮部 生徒役として共演していた吹奏楽部の子たちが、本当に高校生だったので、楽しくて休憩中にたくさんお話しちゃいました。「好きな子いるの?」とか聞いたりして(笑)。
――あははは!(笑) いいですね、そこではちょっとお姉さんの感じで。
宮部 はい(笑)。「え? その好きな子は吹奏楽部にいるの?」とかグイグイ聞いちゃって(笑)。でも、実際に演奏のシーンになると、バーっと鳥肌が立つくらいすごくて、とても感動しました。
――この作品で学んだことはありますか?
宮部 実際に映画を見てくださった方は、皆さんそういう感想を持つんじゃないかな、と思うんですが、作品に触れて、これまで以上に1日1日を大切に生きよう、と思いました。この映画の主役である浅野大義という方は、20歳という若さで亡くなられてしまったわけですが、その20年のなかで音楽を本気で愛して、何事も真剣に取り組んだ姿に、作品を通して、もっともっと一生懸命生きよう、と思いました。口ではもっと頑張ろうって言えるけど、やっぱり、“生きたくても生きれなかった、そういう人たちに向けて、精一杯生きてみよう”って勇気をもらいました。
――宮部さん自身が何度も見返している作品はありますか?
宮部 小松菜奈さんが出ている作品はどれも好きで拝見してますが、そのなかでも『溺れるナイフ』は何度も繰り返し見ています。あの映画の小松菜奈さんの演技がとても自然で、本当に素敵です。あと、今回『20歳のソウル』に出演が決まったあとに、たまたま『フラガール』を見たんです。吹奏楽とフラダンスという違いはありますが、チームの中で意見がぶつかり合ったり、力を合わせて頑張ったりというシーンが同じなので、“これは勉強になるかも”と思ってじっくり見ました。
――日常生活でも、できるだけ吸収しようとするのが勉強家で素晴らしいですね。では、この作品でも、日常生活でも、どちらでもいいんですけど、人から言われた言葉で印象に残ってる言葉や、座右の銘にしていることはありますか?
宮部 この映画を無理やり宣伝しようとしているわけじゃないんですけど、今回、ミナを演じたなかで本当に感銘を受けたセリフがあるんですけど、そこからでもいいですか?(笑)
――(笑)。いえいえ、そこまで気遣っていただきありがとうございます。
宮部 本当に大事にしようと思った言葉なんですが、白々しくなったら嫌だな……って(笑)。劇中で、ミナがあることでかなり思い悩むシーンがあるんですけど、主役である大義くんが「生きているだけで幸せなんだよ」って言ってくれるんですね。そのシーンを演じたときもそうだし、そのあともずっと心の中に残り続ける言葉だな、って思いました。短いなかに、全てが詰まっているなと感じました。
――たしかに。いい言葉ですし、浅野大義という人間が言うからこその重みがありますね。小さい頃の宮部さんはどんなお子さんだったんですか?
宮部 のんびりしてる、って言われてました。自覚はなかったんですけど、たしかに考えてみたら、東京に出てくるまで1人で電車に乗ったこともなかったし、のほほんと生きていましたね。
――じゃあ、電車に1人で乗ったこともなかった娘さんを、東京に送り出すのは心配だったでしょうね。
宮部 今になるとその心配はすごくわかります(笑)。上京してからは“全て自分でやらないと!”という強い意志を持って能動的に動いてたんですけど。もっとわかりやすく安心してもらうためにも、両親には今回の映画を見てもらって“のぞみも、たくましくなったな”って感じてもらえたらなと思います。
――ご両親も驚くかもしれませんね。今後の活動目標などはありますか?
宮部 たくさんあって、言ったことは全て実現させたいタイプなんですけど、まずモデルの仕事をもっとできればと思ってます。中学3年生の1月に、初めてファッションショーに出演させてもらったんです。人前に出ることが苦手だったので、裏ではすっごく緊張していて。東京ガールズコレクションに出演させていただいたときも、どこを見たらいいかわからない、靴もちょっとブカブカだったから、詰め物をして歩いたりとか(笑)。でも、徐々に楽しくなってきて、客席の皆さんに手を振る余裕もできたんです。「じゃんけんして!」って、うちわを振ってくれてる方とジャンケンしたりとか(笑)。
――人前に出るのが苦手、というところから成長されたんですね。
宮部 はい、それがすごく楽しかったから、もっとちゃんとできるようになりたいな、って思ったんです。そこから、歩き方のレッスンを受けて、自分でも普段から歩き方とか姿勢を意識して生活するようになりましたね。
――お話を伺っていると、宮部さんは努力家という印象を受けました。
宮部 そうですね……ただ、努力している姿を人に見られるのがちょっと恥ずかしいというか、誰も見てないところで黙々とやるタイプかもしれないですね。家で1人のときに筋トレしたりとか……(笑)。
――なるほど(笑)。お芝居はどうですか?
宮部 今回『20歳のソウル』に出演させていただいて、すごく楽しかったんです。俳優という仕事をやっている皆さんがそうおっしゃると思うんですけど、“自分じゃない自分になれる、それをたくさんの方に見ていただく”というのは、この仕事じゃないとできない経験だなって。だから、ちょっと悪女の役とかもやってみたいな、と思います。スクールカーストで言えば、いちばん上じゃないから表立っては目立たないけど、いちばん悪い子、みたいな。
――とても具体的ですね(笑)。
宮部 私自身は、あまりグループに属さない、常にいろいろなグループを意識して、バランサーみたいなことをしていたので(笑)、自分の中には全然ない役に挑戦してみたいなと思います。あと、プライベートでは、最近フラダンスを始めたんです。
――へえ! なんでまたフラダンスを?
宮部 ハワイの音楽って、すごく癒されるなと思っていて、自粛期間中はウクレレをやっていたんですけど、ちょっと真剣にフラダンスをやってみたいなと思ったんです。フラダンスって、のんびりしているように見えて、深いメッセージがあって、すごく奥深いんです。そういうところも自分と合っているなと思ってます(笑)。
〇『20歳のソウル』 2022年5月27日全国ロードショー
2003年5月22日生まれ。愛知県出身。身長165cm。特技:トランペット・ピアノ、趣味:ウクレレ