日本中を熱狂の渦に巻き込んだラグビーワールドカップ日本大会から早3年が過ぎた。2023年にフランスで行われるワールドカップを前年に控えた日本代表は、7月2日(土)はトヨタスタジアムで、7月9日(土)は国立競技場で世界ランキング2位のフランスと激突。日本代表にとっては世界との距離を測る、貴重な機会。その見どころを紹介。

ウルグアイに2連勝した日本代表

日本代表はすでにウルグアイとの2連戦を終えた。最新の世界ランキングでは日本10位に対し、ウルグアイは19位。NDS(ナショナルデベロップメントスコッド)という日本代表のサブチームで臨んだ第1戦こそ34ー15と食い下がられたものの、ほぼフルメンバーで臨んだ第2戦は43ー7と力の差を見せつけ快勝。

そして、いよいよ今週末からはフランス代表との2連戦。7月2日(土)はトヨタスタジアムで、7月9日(土)は国立競技場で戦う。国立競技場でのラグビーテストマッチは改修後初となる。

フランス代表は「史上最強のレブルー」と呼ばれ、現在世界ランキング2位の難敵だ。2023年に自国で開催されるワールドカップに向け、着実に強化が進んでいる。今年の欧州六カ国対抗で全勝優勝を果たし、ランキングでニュージーランド代表を抜いた。

また直近の6月19日(日)、フランス代表メンバー中心に構成される“バーバリアンズ”がエディー・ジョーンズ率いる世界ランキング5位のイングランド代表と対戦し、52ー21で一蹴している。

シャンパンの泡のように、サポートがわきあがり華麗にボールをつなぐ伝統のスタイルに、FWの力強さが加わった。「史上最強のレブルー」との呼び声高い充実ぶりだ。

日本代表はこの若手選手に注目!

そのフランス代表に挑む、日本代表の注目選手をピックアップしてみよう。マイケル・リーチ、稲垣啓太、堀江翔太ら2019年ワールドカップ組の安定感は相変わらず。勝負の鍵を握るのは若手メンバーの活躍だろう。

ニュースクランチの注目選手を紹介したい。1人目はNo.8のデビタ・タタフ。目黒高校時代にトンガから留学、東海大学を経て現在東京サントリーサンゴリアスに所属する26歳。183センチ、124キロの体格を活かしたパワフルな突破がウリ。反則が多いのが玉にキズだが、その突破はテストマッチレベルでも、なかなか止められない。※リーグワンではトライ6個

▲デビタ・タタフ選手 写真:YUTAKA/アフロスポーツ

もう1人はスクラムハーフの齋藤直人。桐蔭学園、早稲田大学とエリート街道を歩み、キャプテンとしてチームをまとめた。現在、タタフと同じ東京サントリーサンゴリアスに所属する24歳。165センチ、73キロとこちらは小柄ながら素早い球さばきで、バックスラインにテンポをもたらす。

2019年ワールドカップで大活躍した福岡堅樹が引退し、フランスTOP14で活躍した松島幸太朗とスクラムハーフの要だった流大が選外と、今回の代表メンバーはバックスから大駒が抜けている。いかに齋藤がバックスラインを引っ張り、攻撃を組み立てるか。注目したい。

フランス代表には過去10戦、白星なし。フランスとのテストマッチは2017年以来。過去10戦し、日本の白星はないが、2017年の対戦では引き分けとあと一歩まで追い詰めている。

<日本ーフランス 過去の対戦成績>

  • 1973年10月27日 ●18ー30
  • 1978年9月23日 ●16ー55
  • 1980年10月19日 ●3ー23
  • 1984年9月30日 ●0ー52
  • 1984年10月7日 ●12ー40
  • 1985年10月19日 ●0ー50
  • 1985年10月26日 ●0ー52
  • 2003年10月18日 ●29ー51
  • 2011年9月10日 ●21ー47
  • 2017年11月26日 △23ー23

下馬評では完全にフランス代表有利だが、ひとつ日本が有利な点になるとすれば気候だ。記事執筆時点で、東京都心は6日連続猛暑日を記録。観測史上例を見ない高気温となっている。それに加えこの“多湿”はフランス代表も警戒しているだろう。

過去も来日した海外チームが、多湿な環境で体力を奪われ、湿ったボールハンドリングエラーを連発する、というシーンは繰り返されてきた。炎天下の高温多湿の状況下で、日本代表のフレッシュなメンバーがフランス代表をかき回し体力を奪うことができれば金星が見えてくる。注目の初戦は7月2日15時から!