エキセントリックで誰も真似できない芸を追求し続けるハリウッドザコシショウ。毎夏恒例となっているミニ単独ライブツアー『ハリウッドザコシショウのミニ単独ライブシリーズ』SEASON13ツアーしょんべんは当初3都市5公演の予定だったが、各公演チケットが即完。9月19日にオンライン配信のある追加公演の開催が決定した。
ネタ作りはもちろん、チラシのビジュアル出しからネタ中の選曲、幕間のVTR制作まで全て自ら手がけるこだわり抜く姿勢には、並々ならぬ信念と単独ライブへの真摯な思いが存在した。
※本記事は『+act.(プラスアクト)2022年9月号』(ワニブックス:刊)より、一部を抜粋編集したものです。
2丁目劇場では単独を満席にして初めて認められる
――昨年の単独ライブは収容50%でしたけど、今年は100%予定なので楽しみですよね。
ハリウッドザコシショウ(以下、ザコシ) 50%はもう二度とやりたくないですね。たしかにお客さんにウケているんですけど、ずっとスベっているような状態というか、あんまり返りが感じられなかったんです。人気がないころ、背伸びしてよくでっかい箱を借りてたんですよ。でも埋まらなくて……。50%というのは100人キャパで50人しか笑ってない状態と同じなので、売れてないときの感覚を思い出してしまって。
――昨年のオンライン配信があった回を拝見しましたが、笑い声がかなり響いていたので、そんな気持ちだったとは思いませんでした。
ザコシ いやぁ、やっぱりイヤですよ。後輩が今度、背伸びして単独ライブやるんです。でも半分以下しかチケットが売れてないから、『ざまぁみろ! 背伸びしたからだ』ってイジり続けてるんですけど(笑)。
お客さんが埋まっていないのはよくないっていう感覚が植えつけられてるのは、単独ライブを絶対に満席でやりたい気持ちでいつもやってるからで、中途半端な気持ちでやってないんです。例えば、席が売れてなくても同業者や芸人が来て席を埋めてくれるからいいか、みたいな感覚でやっていると、それまでだなと。
――そういう考え方になったのは何か理由はあるんですか?
ザコシ 僕、2丁目劇場(注:かつて大阪にあった吉本の常設劇場、心斎橋筋2丁目劇場)を体験していて。2丁目では単独ライブで満席にしたら、芸人みんなに認められるみたいな感覚があって。逆に人が入ってないと、まだまだだなっていう感じだったから、プレッシャーみたいなものもあったし、粗末に扱えないっていうのがあるんです。
それに全国的に(単独ライブをやることを)告知すると、いろいろな場所から高い交通費を出して来てくれる人もいるんです。宿泊費も払って見に来てくれる人に対して適当にやるのは失礼だから、いま持っているもの全て、できるもの全てをマックスでやりたいんです。
――今年の公演も全て即完で、9月19日には追加公演も決まったんですよね。
ザコシ (先行抽選の)倍率がすごいんですって。そうなると、例えば300人キャパに1000人くらいの応募が来てる感じで、見られない人であふれちゃうので、9月の追加公演は配信もやるんです。まず、東京本公演の2日間は、1日目と2日目の内容がそれぞれ違うんです。で、静岡と大阪はその総集編みたいな感じでやるつもりですし、追加公演は配信もあるんで内容が違うというか。タイトルも4つあるし、全て別物っていう感覚です。
――じゃあ、もしどこかの会場でライブを見ていても、オンライン配信は新鮮に楽しめるということですね。昨年の単独は2時間30分弱くらい一人でやられていて、すごくエネルギッシュだなと感じましたが。
ザコシ あぁ、2時間半やってましたか。
――そうですね、2時間20分くらいありました。
ザコシ ちょっと前は3時間半くらいやってたんですよ。で、見に来た先輩に『いくらお前の芸が好きでも3時間半は長いわ』って言われて、半分に割ったんです。その流れで1日目と2日目で違う内容にした感じなんですけど。
――そうだったんですね。いろんなジャンルのネタが見られるのも魅力的だなと思ったんですけど、いつもどんなふうに構成してるんですか?
ザコシ 単独ライブでしかやってないキャラクターとかネタがあるんですよ。連続ドラマじゃないですけど、昨年の1日目と今年の1日目のネタはたぶんつながってる感じになると思います。毎年見てる人は“あの続きかな”ってわかるんでしょうけど、もちろん今年初めて来た人も楽しめる構成にしています。