現代はマルチタスクを求められる時代

外部からの刺激という意味であれば、“情報”も加えることができます。現在、私たちは昔の人たちに比べて圧倒的に大量の情報に接しています。

とくに若い世代の人たちは、生まれたときにはすでにパソコン、携帯電話やスマートフォン、タブレット端末などの情報機器と、インターネットやSNSといった通信サービスとともに成長してきました。

まさに四六時中、最新情報の洪水の中に生きていると言っていいでしょう

▲現代はマルチタスクを求められる時代 イメージ:Luce / PIXTA

でも、そうした大量の情報を処理するためのセンサーも、人それぞれ特性があります。大雑把に取捨選択するのが得意な人もいれば、一つひとつの細かい内容が気になってしまう人もいます。

それは「処理能力」と表現できるものではありません。重さを測るはかりと同じで、大量の情報をおおまかに扱うのが得意なのか、それとも細かい情報を詳しく扱うのが得意なのかの違いに過ぎないのです。

ただ現代では、より多くの情報をより速く処理することを重視する傾向が続いているのは事実でしょう。 

職場でも、たくさんの業務を同時に進める「マルチタスク」を求められることが多くなっているのではないでしょうか。

繊細な人の特徴として、このマルチタスクが苦手というのもあります。センサーの特性が違うというだけなのですが、現代では、往々にして「処理能力」という言葉で評価されてしまいます。

その事実に深く傷つき、生きづらさを感じてしまうことも多いようです。

「ナイーブさん」だと理解して許容して対策する

人それぞれ、顔も違えば、声も違えば、食べ物の好みも、好きな動物もみんな違います。まさに十人十色です。

それであれば、感覚器(センサー)の特性、情報を処理するための得意な範囲や受け取り方が違うのも、当たり前にあり得ることです。

そのことを、まず「ナイーブさん」であるあなた自身が理解し、自分の繊細さを丸ごと抱きしめてあげることが大切です

誰もがみな、自分の良い面と悪い面を抱えて、折り合いながら生きています。人より少し大きな音が苦手だったり、まぶしさが苦手だったり、たくさんの情報が押し寄せるのが苦手だったり……。それは、持っているセンサーの性能がとても細密にできているという個性です。

それがわかれば、悲観的になることはありません。対策すればいいのです。サングラスをかければまぶしさは防げますし、できるだけ強い光にさらされない環境に身をおけばいいのです。

大きな音や雑多な音を防ぐには、耳栓やノイズキャンセリングイヤホンが有効です。もちろん大きな音に近づかないのが一番です。

マルチタスクが苦手な人は、逆にシングルタスクで力を発揮できる人である可能性が高いでしょう。自信を喪失する環境を選ぶ必要はありません。できるだけ、自分の得意なことをして生きていける環境を探しましょう。

今はまだ弱いですが、やがては社会が「ナイーブさん」の存在を尊重するようになり、その個性を大切にしてくれるようになるはずです。