デビューからニュースクランチが追いかけ続けている少女歌劇団ミモザーヌ。成長を続ける彼女たちのパフォーマンスに注目度が高まる夏公演『Travelling Summer』を取材してきました。最後にはメンバーからひとことコメントも!
指先まで行き届いた“気”が奏でる圧巻のパフォーマンス
8月23日、ミモザーヌの夏公演『Travelling Summer』が太田区民プラザで行なわれた。今回のテーマは「旅」。長引くコロナ禍で行動が制限され、かつてのように気軽に出かけることが難しくなってしまった今、彼女たちが「ほんのひととき夢の彼方へ」誘ってくれるという趣向である。
ナビゲーターは孤児に扮した、すずきみあいムェンドワと いわむらゆきね。お腹を空かせた二人が、厳しい現実から逃れるために空想の旅に出て、世界を巡るという筋書きだ。
オープニングは、今年から団長に就任した いまもりまなかを筆頭に、総勢14名による「Welcome Review」。色とりどりの衣装に身を包んだメンバーが登場し、賑々しくショウはスタートした。NYの街角から始まった旅は、スペイン・イタリア・フランスと舞台を移し、その国にちなんだ音楽スタイルやファッション、アイテムなどを盛り込んで進んでいく。
真っ直ぐな歌、華麗なダンス、インパクトあるアクロバット、多彩な衣装など、見どころは今回も盛りだくさんだが、とりわけ、みあいとゆきねのナビゲーションが素晴らしい。掛け合うように唄う歌も、声が伸びやかで高らかに響く。さすがは1期生、安定感抜群のパフォーマンスである。
「アブダカダブラ」などに代表されるように、群舞のコンビネーションも一層精度が高まって、とても見応えがある。なにより、一人一人の表現力が格段にアップしているのがわかって、その成長の跡に心動かされた。
終盤の「夜来香(イェライシャン)」では、チャイナドレスを着た いまもりまなかが中国語で歌唱。前半の「Take The “A” Train(A列車で行こう)」も、すずきみあいムェンドワが英語でパワフルなヴォーカルを聴かせていたが、ローカライズする部分とオリジナルの本格的なエンターテインメントを追求する部分のバランスも良い。
見どころが多かった今回の公演のなかでも、とりわけ出色だったのは、新たに挑んだフラメンコだ。軽やかに、しかし力強さも感じさせながら踏むステップには、彼女たちのあふれる“気”が感じられたし、指先にまで神経を行き渡らせた所作の美しさには格別なものがあった。
コラボレーションでも垣間見えたメンバーの才能と努力
15分の休憩を挟んで、第2部はユーモラスな音頭「トラトラ」からスタート。この曲はこれまで、いわなみゆうか率いる「ゆうか軍団」の担当だったが、彼女は現在、学業に専念するためお休み中。代わりに3期生の さかもとりるはが盛り上げ役を務め、奮闘していた。
続いて「応援芸人」としてオズワルドが登場し、漫才「ロードバイクとレトリーバー」で場内を沸かせたあと、みやはらにこ、いまもりまなか、いわむらゆきね、そしてオズワルド畠中の4人がゲームに挑戦。
「けん玉」「スーパーボール一回転キャッチ」「じゃんけんあいこチャレンジ(4人全員があいこになるようにする)」と3種目にわたって行なったものの、この回は一つも成功させることができず。それでも、司会のオズワルド伊藤の絶妙なツッコミも手伝って、場内は終始笑いに包まれ盛り上がっていた。
ゲームコーナーのあとは「情熱フラミンゴ」「夕陽に笑うシマウマ」「夏のペンギン」という動物がテーマの曲を3曲続けて披露。特に「夏のペンギン」は、燕尾服にフリルのスカートを履いてピョコピョコ踊るメンバーの動きがとても可愛らしい。反面、曲が終わって袖にはけ、姿が見えなくなる最後の瞬間までペンギンになりきっている姿には、鉄壁のプロ意識がにじんでいた。
津軽三味線の北村姉妹をゲストに迎えたコーナーでは、「愛の速度」をコラボ。疾走感のあるナンバーと津軽三味線のコンビネーションはバッチリで、まお、みりの姉妹はイングウェイ・マルムスティーンばりの速弾きも見せてくれた。続く熊本民謡の「おてもやん」は、昔の謡曲の味わい深さがしみじみと伝わってくる。振り付けには、これまた新挑戦となる日本舞踊が取り入れられるなど、連綿と続く芸能の歴史を感じさせる構成もミモザーヌらしい。
新曲「SUN FLOWER」のあとには新加入の4期生、5名(こじまさいか、ともだしづく、すずきよりほサベーラ、かとうさや、おかべはなこ)が紹介された。11歳から14歳というひときわ若い彼女たちが、これからミモザーヌにどんな要素をもたらしてくれるのか楽しみだ。本編はゴダイゴのタケカワユキヒデ提供の新曲「Shine」で終了。全員で声と気持ちを合わせたコーラスも圧巻だった。