主演を支えられるような俳優、人間でいたい

――同世代や環境が近い俳優さんで、ライバルや意識する人はいますか。

水沢 細田佳央太くんは、いろんな作品で共演することが多いので、お互いに芝居の話を中心にいろんな話をします。役者としてもプライベートでも、良き友であり、僕は勝手に「良きライバル」だとも思っています。彼の芝居で気付かされることもあれば、学びたいと思うところもたくさんあります。

僕らの世代は、いろんな才能を持った役者さんがたくさんいますが、特に闘いたいとは思ったことはないんです。それぞれの個性が素晴らしく、あまり軽々しく使っていい言葉だとは思いませんが、尊敬しています。ただ自分は、そのなかでも頭ひとつ出ていたい。そういう役者でいたい、という思いはあります。

――『もしも、イケメンだけの高校があったら』では、細田さんが主演でしたね。

水沢 主演って大変なんだろうなと思いました。僕はサポートするのが好きなんです。だから、主演を支えられるような俳優、人間でいたいと改めて思いました。もちろん、いつか僕が主演ができるようになったときは、現場の空気をよくしたり、うまく回せるような人間になれればとは思います。やってみないとわかりませんが、機会があって、できることがあれば、そのときは探りながらやっていきたいと思っています。

――細田さんは監督などの制作側もやりたいとよく話していますが、水沢さんは?

水沢 演出はできないと思うので、細かなことをしてみんなを支えたい。大きな役職にはつかず、準備やみんなの補助的な立場でいられたらと思います。助監督とまでは言わないですけど、現場で動き回っていたいです。誰かをサポートすることをやりたいです。

――制作発表の場でも、周りの生徒役の方々をサポートしていましたね。

水沢 そんなことないです。役やコンセプトのおかげで一緒に頑張ろうと、みんながチーム一丸となっている現場だったんです。僕もメンディーさんや(クラスメイト役の)曽田(陵介)君に頼りながら、少しでも力になりたい一心でやっていました。以前から知り合いだったり、仲がよかったりする子も多く、初めましての子が少ない現場だったこともよかったです。

▲現場で動き回り誰かをサポートしていたい

――演じていて好きなジャンルはありますか。

水沢 落ち着いているとか、闇があるようなキャラクターを任せられることが多いですが、得意かと言われると自信はありません。どちらかというと、苦手なもののほうが多いです。

――これまでで一番、難しかった役は?

水沢 どれも難しいのですが、そのなかでも、今回の『覆面D』の武藤という役は、群を抜いていました。ワードや単語は知っていても、現状や内情は把握しきれていない、知らないことばかりだったので、どう映っているのかわかりません。とにかく魂を削ってやりました。

まだ不安な面もありますが、これだけみんなで命を賭けてやった作品なので、皆さんに届くのが楽しみです。一番大変なのはいつも下調べです。演じる人間の全てを知ることは難しい。原作がなければさらに難しくなります。原作があってもわからない部分がたくさんあるので、準備が一番大変です。事前に準備をしていないと、まともな芝居ができないので、調べる時間はなるべく取るようにしています。

――実在する人物など、大変そうですね。

水沢 やってみたいですけど、大変そうですよね。やったら楽しいんだろうな、とわかっているからやるんですけど、本音を言えばギリギリまでやりたくない。自分の感情が矛盾しています。大河ドラマもいつか出演できたらいいなと思いますけど、頭がいっぱいいっぱいになりそう。そのときは早めに役を教えていただきたいです(笑)。

――今後の目標は?

水沢 ずっと気にかけているのは、相手とちゃんとコミュニケーションを取ることです。どんな形であれ、常に実行しようと心がけています。今19歳ですが、もっと早く、16歳くらいからしておけばよかったと後悔しているところがあるんです。でも、あの頃はできなくて、そのせいで失敗したこともたくさんありました。

ちゃんとコミュニケーションをとれていたら、もっと違っていたんじゃないかと思うところがあり、今からでも遅くないと思い直しました。もしかしたら、もう遅いかもしれないですけど(笑)。以前の僕は、現場などで会う初対面の方に、どちらかというとマイナスに取られてしまうようなことを無意識でやってしまったり、僕がそんなふうに思っていなくてもネガティブに捉えられてしまうことがあった気がします。普通の人が普通にできていることが、できないのかもしれません。気をつけないといけないと思っています。

――そんなことないです。今日のインタビューも10代とは思えない、しっかりした受け答えです。

水沢 まだまだ探り探りです。自分でもどういうことを話しているのか、ついさっきの記憶すらないんです。もしかして支離滅裂なことを言っていたらすみません(笑)。

▲相手ときちんとコミュニレーションを取るように心がけている

プロフィール
 
水沢 林太郎(みずさわ・りんたろう)
2003年2月5日生まれ、埼玉県出身2017年10月ドラマ『奥様は、取り扱い注意』でデビュー。2019年、第34回メンズノンノモデル オーディションで準グランプリを獲得し専属モデルに。今年はドラマ『もしも、イケメンだけの高校があったら』『恋に無駄口』『テッパチ!』、映画『Bridal,my song』、バラエティ番組『あざとくて何が悪いの?』内の『あざと連ドラ』など多数出演。インスタグラム:@rintaro_mizusawa_official