20本塁打以上が5選手もいながらBクラスに終わった3つの原因
今シーズンの巨人は、開幕から1ヶ月は首位に立っていた。しかし、最終的には5年ぶりのBクラスとなる4位で屈辱的なシーズンを終えた。
まず野手陣を見渡すと20本塁打以上が5選手もいた。岡本和真の30本塁打を筆頭に、丸佳浩が27本塁打、グレゴリー・ポランコと中田翔が24本塁打、アダム・ウォーカーが23本塁打を記録。
投手陣では、ルーキーの大勢が新人セーブ記録(37S)を残すなど、選手個人で見ると目立った活躍が見られた。
しかし、チームは2017年以来の4位に終わり、Bクラスとなった。ここまでの選手層を誇りながら、チームが機能しなかった理由は3つある。
1つ目は、チームリーダー坂本勇人の離脱だ。今シーズンは、3度の離脱があったため、一軍定着後のキャリアではワーストといってもいい成績に終わった。昨シーズンも坂本は離脱をしていたが、その期間はチームもなかなか調子が上がらなかった。それは、今シーズンも同じだった。チームを引っ張る存在がいなくなることは、野球というスポーツにおいて、非常に大きなマイナス要因となる。
ヤクルトは、山田哲人の衰えが見え始めたなかで、三冠王に輝いた村上宗隆が代わりとなってチームを引っ張っていった。巨人なら、坂本の代わりに岡本がチームを引っ張る役割を担っていく必要があるだろう。
2つ目は、監督である原辰徳氏の采配面で疑問符が付くシーンが目立ったことだ。2019年シーズンでは、チームを改革するマネジメントとして坂本・丸・岡本の2番から4番を確立させて、チームを優勝に導いた。
しかし、2020年の終盤から陰りが見えていたなかで、今シーズンはほとんどいいところがない結果に終わった。2019年のように、打順をうまく組んだり、複数の捕手を運用していれば、勝ちを拾えた試合はあったと見ている。原氏が続投となれば、采配やマネジメントの面で、物申せるNo.2の首脳陣の存在が必要だろう。
最後は投手陣だ。今シーズン、リーグ優勝したヤクルトは投手の枚数が多かったこともあり、うまくブルペン陣を運用した。その結果、無理のないマネジメントで先発陣をブルペンでカバーしてリーグ優勝を果たした。
逆に、巨人はこの投手運用を2020年にやるべきだった。このシーズンは中川皓太、大竹寛、鍵谷陽平、大江竜聖、高梨雄平、ルビー・デラロサとブルペン陣が充実。さらに、回跨ぎや大差の試合にはチアゴ・ビエイラや田中豊樹も起用できる状況だった。
しかし、これだけブルペン陣を整備できていたにも関わらず、小刻みに複数人の投手を投げさせたのが不可解だった。当時から、『ゴジキの巨人軍解体新書』(光文社新書)やnoteなどで、書かせていただいたが、絶対にツケが来るとわかっていたはずだ。その結果、翌2021年シーズン終盤にはブルペン陣が力尽きてしまい、今シーズンに至っては中川が全休で大江は3登板、鍵谷は防御率3.71に終わった。
当時のブルペン陣で今も元気に投げられているのは、高梨のみという現状である。こればかりは、今シーズンから中継ぎに回った今村信貴や平内龍太、鍬原拓也ではカバーしきれなかった。さらに、先発だった畠世周や高橋優貴を、シーズン中に先発と中継ぎ、どちらもやらせた起用法は理解に苦しむ。
特に、高橋に関しては、昨シーズン勝ち頭。開幕前に不調であれば、多少時間かけてでも先発で調整させるべきだった。来年に向けて、このあたりの整備は必要不可欠だろう。