私たち日本人は、マスコミに押しつけられる情報を鵜呑みにするのではなく、世界のニュースにしっかりと目を向けて、一人ひとりが意識を変えていかなければいけません。それは今回のコロナ騒動においても海外のニュースを含め、きちんとした情報源に当たることが重要です。谷本真由美氏が正しい情報を身につける方法、信用できるメディアを教えてくれました。
※本記事は、谷本真由美:著『世界のニュースを日本人は何も知らない』(ワニブックス刊)より、一部を抜粋編集したものです。
現代人に必須! 「正しい情報」にアクセスする能力
ネットの発達でさまざまな情報が入手しやすくなりましたが、一方で問題となるのは情報が多すぎて選ぶのが非常に難しいということです。これはさまざまなジャーナリストや学者も指摘していることで、いまのインターネットはあまりにもノイズが多すぎるため、かえって人々が有益な情報を得る妨げになっています。
さらにもっと大きな問題は、情報の提供先であるニュースサイトや検索エンジンが情報をフィルタリングしてしまうので、特定の政治勢力や企業にとって有利な情報しか表示されなくなってしまうことです。
これもまた多様な情報にアクセスする妨げになっているのです。
日本での反応はイマイチだったようですが、英語圏ではたいへん話題になったイーライ・パリサー著『フィルターバブル──インターネットが隠していること』(ハヤカワ文庫NF)では、適切な情報がなんの制限もなく利用者に届けられることがいかに難しくなっているかを指摘しています。そんな現代社会で自分にとって有益な情報を探し出し、正しく取捨選択できる能力は最も重要な生存スキルではないかと私は思うのです。
たとえばネット上にも書店にも医学に関するさまざまな情報があふれていますが、誤った情報を選んでしまうと命の危険につながりかねません。最適な医師や治療法に関する情報を得ることは自分の人生を左右するといっても過言ではないでしょう。
単なる神経痛と診断されていたが、本当は重症だった
私はこのことを実感する出来事を経験しました。それは二十数年前、母親の脊髄狭窄症(せきずいきょうさくしょう)という病気が悪化して歩けなくなる寸前になったときのことです。
当時、脊髄狭窄症は日本ではあまり知られておらず、専門医の数も多くはありませんでした。母もさまざまな病院を渡り歩きましたが原因がまったくわからず、大半の病院で単なる神経痛とか気のせいだといわれ湿布を貼られて帰される。その繰り返しでした。
ところがある鍼灸院にいったところ、そこの先生が背中をちょっと触って「これは私では治療できないから、紹介する国立病院に今すぐ行ってください」といわれたのです。急いでその国立病院に向かったところ脊椎狭窄症だと診断されました。
その病名にたどり着く前、母親と同じ症状の人を知らないかとたずねていた親戚から、診断の直後「私の友達がまったく同じ症状で〇〇先生に手術してもらって車椅子だったのが歩けるようになった。この分野では日本一の先生らしいから今すぐA病院の〇〇先生のところへ行って!」という情報が舞い込んできたのです。その親戚はたいへん顔が広くたくさんの友人知人がおり、たまたま同じ症状の人が友人にいたようでした。
早速A病院に出向いて、診断してくれた国立病院の医師の名前と診断名を伝えると、担当医師の目の色が変わり、すぐに精密検査となりました。そして「今すぐ手術しないと間に合わないよ!」と三日後に手術するよう手配してくれるなど、診断されてからはトントン拍子で進んでいったのです。
これはまさに信頼性の高い情報へ能動的にアクセスしていった好例といえます。
もしもほかの病院の診断を鵜呑みにしていたら、もしも顔の広い親戚に同じ症状の人がいるかどうかをたずねておかなかったら、もしもA病院に行かなかったら、私の母はいまごろ全身が麻痺していたかもしれません。
当時はネットが発達していなかったので、こういった情報は口コミで知るほかありませんでした。ところが昨今はネットで膨大な情報を入手できるので、こういった重要な情報を自分で探すことがぐっと容易になりました。
大切なことは、世の中に数多く存在する情報の中から適切なものを検索し、信憑性の高い情報を見極めることです。