2023年3月に開催されるWORLD BASEBALL CLASSIC。今回はひと足早く、日本代表のベストメンバーはどのような布陣なのか。昨年の東京五輪や今シーズンの活躍も踏まえながら、考えていきたい。今回は野手編!
過去のWBCでは投手力と同様に打力も世界トップクラス
第一回のWBCでは「スモールベースボール」と言われていた日本代表の野手陣だが、過去のWBCを見ても世界トップクラスの打撃力だったことがわかる。下記がこれまでの大会のチーム打撃成績だ。
- 2006年大会:打率.311 10本塁打 57打点
- 2009年大会:打率.299 4本塁打 41打点
- 2013年大会:打率,279 8本塁打 44打点
- 2017年大会:打率.298 11本塁打 46打点
2006年大会に関しては、打率・本塁打・打点が出場国トップである。盗塁数も1位(出場国唯一の二桁となる11個)だったこともあり、メディアが印象づけた小技ばかりの「スモールベースボール」のイメージがついてしまったのではないだろうか。また前回大会の場合も、打率が出場国で5位、本塁打は1位を記録。打点も2位だった。
来年のWBCでも、東京五輪で監督を務めた稲葉篤紀氏が掲げた「スピード&パワー」で実証した「トータルベースボール」を再現性高くすることで、世界各国と対等以上の試合ができるはずだ。
例えば、東京五輪のなかで日本らしい緻密な野球が見られた試合は、準々決勝のアメリカ戦だったと思われる。ビハインドで迎えた展開だったが、9回に鈴木誠也が四球で出塁して、浅村栄斗がうまく右へ流してヒットでつないだ。
この場面で、浅村はプレミア12と同様に、場面に応じた軽打をしたうえで右打ちをしてチャンスを広げ、さらに柳田悠岐が内野安打でもおかしくないような内野ゴロで、ランナーを返して追いついた。タイブレークの10回では、栗原陵矢が一球でバントを決めて、甲斐拓也がサヨナラタイムリーを放ち、総力戦に勝利した。
この試合で、日本が世界に勝てる「トータルベースボール」を見せたと感じた。基盤となる選手が、しっかりとチャンスメイクから細かい犠打などのプレーで得点に結びつく野球を見せたのだ。これこそが、ビッグベースボールとスモールベースボールを掛け合わせたものであり、理想的な「勝てる野球」だったのではないだろうか。
WBCという世界を相手にした舞台でも、ただ走るだけではなく、このような試合を行うことによって、2009年以来の世界一が近づくだろう。