26年ぶり5度目の日本一となったオリックス・バファローズ。前年と同じ顔合わせとなった東京ヤクルトスワローズを4勝2敗1引き分けという結果で退け、見事に2022シーズンの覇者となった。

2敗1分という苦しい展開だったなか、4連勝を成し遂げた要因はなんだったのか? 2022年シリーズの鍵となった試合と、それぞれのチームの投手運用について見ていきたい。

日本シリーズの流れを変えた男・吉田正尚

1勝2敗1分で迎えた5戦目、オリックスの主砲・吉田正尚が日本シリーズの流れを変えた。1対0のロースコアゲームだった4戦目とはうって変わり、得点が入って試合が動く展開となった5戦目。そのなかで、吉田は2本塁打を記録。2本目はサヨナラホームランとなり、日本シリーズの勝敗を五分五分に戻した。

オリックスからすると、初戦と2戦目の敵地・神宮球場での試合で、1勝もできずにいた。さらに、エース・山本由伸が怪我で今シリーズの登板が難しいことや、京セラドームの3戦目も落として焦りがあっただろう。

オリックス打線は、なかなか得点を生み出すことができずにいたが、吉田という唯一無二の選手が、勝負を決める一打で勝敗をタイに戻したことで、日本シリーズの流れは大きく変わった。サヨナラ勝ちを収めてからは、再び戻ってきた神宮球場で2連勝をして日本一を決めた。

昨年の日本シリーズでは、怪我をおしながら出場していた吉田だが、その悔しい思いを晴らせた瞬間だったのではないだろうか。

両チーム理にかなった分厚いブルペン陣

オリックスとヤクルトは、両チームともに分厚いブルペン陣を確立した。これは理にかなっている。オリックスで試合を作ることを計算できる先発投手は、山本由伸以外ほとんどいないからだ。しかし、その山本が怪我で投げられない状態のなかで、日本一になったからこそ、ブルペン陣の価値が高まったのだろう。

強力なブルペン陣を確立することで、先発投手はある程度スタミナを温存しながら7回まで投げるのではなく、あとを考えず、5回までを全力で投げさせることができる。さらにオリックスの場合は、山﨑颯一郎や宇田川優希と言ったスピードがある投手を揃えていたことで、技巧派の宮城大弥や山崎福也はもちろんのこと、比嘉幹貴も活きた結果になった。

オリックスのブルペン陣は、登板数が投手によってバラつきがあるが、戦力として活躍した投手は8人いた。バリエーション豊かでありながら、層の厚さも見受けられたからこそ、日本一に輝いたのだろう。

ヤクルトはシーズン序盤から奥川恭伸が離脱したこともあり、先発陣は長いイニング計算できない状況だった。そのため、オリックスと同様に分厚いブルペン陣を確立。30試合登板以上の投手は9人いた。そのなかでも、回跨ぎもできる木澤尚文はフル回転の活躍をして、中継ぎながらも9勝。ただ、オリックスのように日本シリーズ内で、うまく配置転換ができなかったことが敗戦の要因のひとつとなった。

ただ、シーズンにおいてみても、先発投手のやりくりが難しいなか、ブルペン陣を上手に運用をした監督・高津臣吾氏の手腕は、セ・リーグ連覇に相応しいものだったと言える。