2022シーズン、投手として15勝、打者として打率.273、34本塁打、95打点。投打で素晴らしい成績を残しながら、タイトル獲得とはならなかったロサンゼルス・エンゼルス所属の大谷翔平選手。今シーズンを改めて振り返る。

大谷翔平が無冠という結果は論外である

今シーズンの大谷翔平は、二刀流として見ると、昨シーズン以上に投打に渡ってMLBのなかで見てもトップクラスの成績を残した。今年も歴史的に見て、伝説的な活躍となったシーズンといっても過言ではない。世界的にここまでスター性と実力を兼ね備えた選手がかつていただろうか。

NPBで例えるなら、投手としては山本由伸(オリックス)と同等の実力で、野手としては村上宗隆(ヤクルト)のようなバッターが二刀流として活躍している。

大谷翔平という存在自体が唯一無二である。打撃面では2年連続30本塁打を記録。投手としても、160km/h以上のストレート、ツーシーム、スプリット、カットボールなどを織り交ぜて、世界一に輝いたアストロズ打線に対しても臆することなく立ち向かい、抑えた。

シーズン中の自身のコンディションを見計らいながら、スタイルを変えて結果を残していくなど、さらなる成長を感じさせた。器用貧乏とは違い、高いレベルで選手としての引き出しの多さも見せたシーズンだった。サイ・ヤング賞にもノミネートされるなど、間違いないなく現在の「世界最高の野球選手」である。

下記は、今シーズンの成績である。

投手成績を見ると、15勝と防御率2.33はリーグ4位。219奪三振はリーグ3位を記録して、奪三振率11.87に関してはリーグ1位である。

打撃成績は、打率.273こそリーグ25位であるが、34本塁打はリーグ4位。95打点はリーグ7位を記録し、長打率.519とOPS.875はリーグ5位を記録した。

長丁場のシーズンで二刀流として、投打においてここまで満遍なくリーグでトップクラスの成績を残すことは、凄まじいことである。成績もそうだが、600打席以上も立ちながら160回以上投げたうえで、二刀流として高いパフォーマンスを維持し続けた点を見ると、改めてフィジカル面のすごさにも驚かされる。

ひとりの選手が野球最高峰の舞台であるMLBにおいて、投打でここまでの成績を残したことがあっただろうか。対抗馬だったアーロン・ジャッジ(ニューヨーク・ヤンキース)が、リーグの本塁打新記録を樹立するなどすごかったことも認めるが、MLBにおいて史上初のダブル規定到達の大谷のほうがすごい選手なのは、普通に考えればわかることではないだろうか。

どちらが、今後、再現性が難しくすごい記録なのかは一目瞭然でわかるはずだ。

大谷が2年連続で成し遂げたことがすごすぎるがゆえに、大谷に対する評価が厳しくなっていることもあるだろう。しかし、野球やベースボールにおいて求められることは、打って投げて走って守ることだ。その求められていることを、ひとりで成し遂げているからこそ「世界最高の野球選手」なのは間違いない。

ただ、この表彰に限らず、一般的に扱われる評価の課題点としても見受けられた。実際のところ、昨シーズンの成績を基準値としたハードルで見れば、及第点だったものの全てが優秀であるがために、突出して尖った能力を持つ選手より、評価がされないこともある。そこに、二刀流に対する評価の難しさも重なったのだろう。

ひとりの野球選手として大谷のパフォーマンスを見ると、歴史上にいないレベルの選手であるため、来年以降は5年連続ぐらいでMVP獲得をしてほしいところだ。さらなるレベルアップをしたうえで、打者としては3割40本塁打100打点、投手としては15勝200奪三振、防御率2点台前半といった誰しもが認める圧倒的な成績を残して、大谷が正当な評価をされることを願いたい。