2023年3月に始まるWBCに向けた強化試合が東京・北海道で行われた。東京ドームでは巨人、北海道日本ハムファイターズと試合を行い、札幌ドームではオーストラリア代表と2試合、合計4試合を戦った。

4連勝と結果をみれば素晴らしい出来だが、内容はどうだったのか。活躍をした選手を中心に振り返っていく。

主力野手の対応力の高さが見られた4試合

WBCの強化試合として組まれた4試合。若手も多く入ったなか、目立っていたのは主力選手の対応力の高さだ。特に初戦から結果を残せた牧秀悟(DeNA)と村上宗隆(ヤクルト)、森友哉(西武)はワンランク上の実力を感じられた。

そのなかでも村上は、日本シリーズでは調子を下げていたことから不安だったものの、出場した3試合で4本塁打と、三冠王としての実力を見せた。韓国代表や、おそらく勝ち上がってくるオランダ代表と戦うであろう準々決勝でも、勝利に導く打力を見せることができれば、さらにワンランク上の打者になれるだろう。

森に関しては、打力にばかり目がいきがちだが、守備面でも代表の投手陣を牽引。捕手としての能力の高さも見受けられた。そのため、2023年のWBCに関しては、森を中心に捕手を運用していくのがいいだろう。

シーズンを通して、西武投手陣をパ・リーグ防御率1位となる素晴らしいリードで引っ張り、この強化試合では日本代表の投手陣をうまくリードした実力を考えると、守備面でも評価されていいところだ。

牧に関しては本職の二塁手ではなく、一塁手として出場をさせていきたい。なぜなら、二塁手としての守備力では正直、日本代表としては厳しいからだ。シーズンを戦ううえでの考え方なら、牧を二塁手にするプランもよかったが、短期決戦はいかにミスをしないかが鍵になる。そのため、二塁手は守備力が水準以上で経験もある山田哲人(ヤクルト)を起用すべきだ。ただ、一塁手も実績で勝る浅村栄斗(楽天)との代表争いになっていくだろう。

▲2020東京五輪決勝での山田哲人選手 写真:USA TODAY Sports / ロイター / アフロ

若手投手のピッチングに収穫あり!

投手を見ると、若手選手のピッチングに収穫があったように思えた。

まずは、2年目の髙橋宏斗(中日)だ。シーズンでは高い奪三振率(10.34)を記録。さらに規定投球回数こそ未到達ながらも、134奪三振を記録して、セ・リーグ3位の奪三振数の成績を残した。日本ハムとの強化試合では、慣れない第二先発の役割として登板。その役割としても、3イニングを無失点に抑えるピッチングを見せた。本大会では先発ローテーションの1人として考えてもいい実力なのは間違いない。

次にセ・リーグ最多奪三振を記録した巨人の戸郷翔征は、オーストラリア戦で第二先発として登板。慣れない第二先発という役割にもかかわらず、4イニングを7奪三振で被安打は1と完璧なピッチングを見せた。多くのライバルがいるなかで、慣れない起用法に適応した部分を見ても、非常にいいアピールになったに違いない。

さらに、対外国人を見ても、国際球にうまく順応しながらスプリットを活かすことができた点は非常に大きい。オーストラリアの打者の反応を見ると、おそらく戸郷の独特なフォームから繰り出されるスラッターとスプリットは、初見で打つのは困難ではないだろうか。

宮城大弥(オリックス)は、巨人との強化試合で第二先発として登板。その役割でもしっかりと結果を残した。今の代表のレベルだからこそ、宮城は活かされる可能性は高い。

所属するオリックスの投手陣と同様に、日本代表には先発陣では同学年の佐々木朗希(ロッテ)をはじめとした、チームメイトである山本由伸(オリックス)といったスピードがある投手が、日本代表の先発陣の候補だ。ブルペン陣を見ても、大勢(巨人)や湯浅京己(阪神)といったボールスピードがある投手が揃っている。宮城のような投手が第二先発にいることで、緩急の差がかなり活きるのではないだろうか。

次はヤクルトの高橋奎二だ。シーズンの成績やインパクトだけで見ると、上記の3投手には若干劣るが、投げているボールは代表レベルだったに違いない。特にストレートは、空振りをとれる球筋であることから、国際大会で起用するのも非常に面白そうである。

さらに高橋奎二の場合は、CSや日本シリーズの好投でもわかるように、短期決戦にも強いため、ボールが合えば適任ではないだろうか。数少ない左の本格派としても期待できる投手である。

最後は巨人の大勢だ。ルーキーながらも物怖じしないピッチングとマウンドさばきは、さすがの一言だ。オーストラリア戦では三者三振で締めるなど、完璧なピッチングを見せた。彼が持っているボールを考えると、スプリットを有効に使えれば外国人相手でも問題なく抑えることができるだろう。