WBC出場を表明! 日本代表として世界一を目指す

先日、自身のInstagramのアカウントで、来年のWBC出場に関する投稿をした。もちろん大きなニュースにもなった。世界的に見ても、これだけのカリスマ性と実力を兼ね備えて、キャリアとしてみても全盛期にWBCに出場するのは、イチローや松坂大輔以来ではないだろうか。

大谷自身、前回大会では足の怪我により、大会直前に辞退したこともあり、強い気持ちで臨むだろう。さらに、北海道日本ハムファイターズ時代の監督である栗山英樹氏の下でプレーをすることになり、注目度も高くなる。

吉田正尚(オリックス)がメジャー移籍の話が飛び交うなかではあるが、移籍が決まればWBCへの出場は難しいだろう。そのなかで、打者としてもこのうえない選手である大谷が日の丸を背負う。打者として出場するのであれば、エンゼルスで慣れている2番、または3番での出場になる可能性が高いとみている。さらに、大谷が二刀流で出場可能となれば、出場選手の枠に余裕が生まれる。

さらに、大谷が出場することにより、共にプレーをしたい選手のモチベーションも高まっていくだろう。

▲WBC出場を表明した大谷 写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

NPB時代も圧倒的な実力で試合やシーズンを動かしていた

大谷はNPB時代も二刀流として活躍をしていたが、大谷がすごすぎることで、チームのバランスが崩れてしまうことも懸念材料である。

特に2015年と2016年、ひとりで結果をひっくり返すことが顕著に現れた。2015年のプレミア12の準決勝・韓国戦で先発としてマウンドにあがった大谷。大舞台で圧倒的なピッチングを披露。7イニングで85球を投げて1安打無失点で、2塁すら踏ませずに14奪三振のショータイムを演じてマウンドを降りた。

しかし、そこから悪夢が生まれた。後続の則本昂大や松井裕樹、増井浩俊がことごとく攻略されてしまい、大事な試合で大逆転負けを喫した。この要因は、則本の回跨ぎなどの起用法も挙げられるが、大谷がバランスブレイカーとして活躍しすぎたことにより、投手陣が相対劣化した結果と言えるだろう。

2016年は大谷がプロ野球の歴史を変えたシーズンだった。

当時、磐石の強さを誇っていたソフトバンクに11.5ゲーム差をつけられていたが、大谷を中心とした日本ハムは、そのゲーム差をひっくり返して大逆転優勝を成し遂げた。

この年の大谷は、NPB史上初となる投手と指名打者の両部門でベストナインのダブル受賞を獲得。二刀流としての活躍も認められ、文句なしのシーズンMVPに選出された。

エースとして見ても、5月中旬から7連勝を記録。そのなかで7月3日のソフトバンク戦では「1番・投手」として先発出場すると、プレイボール直後の初球を右中間スタンドに叩き込む初球先頭打者を放ち、先制パンチをお見舞いするなど印象的な活躍を見せた。優勝争いをしていたソフトバンク戦の成績は4戦2勝で防御率1.26を記録。打者としても、打率.411、 9本塁打、16打点、OPS1.365を記録した。

当時3連覇を狙っていたソフトバンクからすると、日本ハムというよりも「大谷翔平」という選手が大きな壁になっただろう。

最終的には、規定未到達ながらも二刀流として二桁勝利・3割20本塁打を記録。また、130イニング以上限定で、シーズン奪三振率も2019年に千賀滉大(ソフトバンク)に抜かれるまでは、歴代最高の11.9を記録し、間違いなく2016年のプロ野球の顔となった。この年のようにNPB時代から、シーズンそのものをひっくり返してしまう力を見ると、今のMLBで見せている活躍ぶりも納得できるのではないだろうか。


プロフィール
ゴジキ(@godziki_55)
自身の連載である「ゴジキの巨人軍解体新書」「データで読む高校野球 2022」をはじめとした「REAL SPORTS」「THE DIGEST(Slugger)」 「本がすき。」「文春野球」などで、巨人軍や国際大会、高校野球の内容を中心にコラムを執筆している。今回、新たに「WANI BOOKS NewsCrunch」でコラムを執筆。Twitter:@godziki_55