11月24日に行われた明治神宮野球大会・高校の部、決勝戦。大阪桐蔭高校(大阪)と広陵高校(広島)という2年連続で同じ顔合わせとなった。試合は5点差をひっくり返す逆転劇で大阪桐蔭が6対5で勝ち、大会史上初となる連覇を果たす結果に。連覇までの道のりと、ひと足早く来春のセンバツに向けた課題をみていこう。

史上初の明治神宮大会連覇を飾った大阪桐蔭

今年の明治神宮野球大会も、大阪桐蔭は強豪から勝利をもぎ取り、連覇を果たした。バリエーション豊かな勝利の仕方も見受けられ、準決勝の仙台育英(宮城)戦と決勝の広陵戦は立て続けに逆転勝ちをしており、ビハインドの展開から試合をひっくり返す真の強さも感じられた。

この世代の大阪桐蔭は、エース兼キャプテンの前田悠伍を中心としたチームビルディングを進めている。野手陣は、2番の山田太成と3番の徳丸快晴が大会を通して、5割以上の打率を残して、打線の起点となった。

チームの中心である前田は、2年連続となる明治神宮大会での胴上げ投手となった。しかし、相手チームが研究をしていたこともあり、近畿大会から打ち込まれる場面も見られた。現状は投手として全てが70〜80点でまとまりすぎているため、何かねじ伏せられるものがほしいところ。

投手として突き抜けた力をつければ、夏の甲子園のような雰囲気や、状況が劣勢のときにもねじ伏せられる投手になれるだろう。

初戦の東邦(愛知)戦は、前田悠伍が中村騎士にホームランを許すも、相手のエラーが重なり、最終的には9得点をあげて勝利。2戦目のクラーク国際(北海道)戦は、打線が爆発力を見せる。前田の登板はなかったものの、12対2のコールド勝ちで大勝した。

準決勝は国体でも対戦をした仙台育英だ。

春の甲子園覇者VS夏の甲子園覇者の対戦は、かなり注目度が高かった。仙台育英は大阪桐蔭打線の左打者対策として、左腕の仁田陽翔が先発。大阪桐蔭は前田が先発で試合が始まった。仙台育英は、こちらも注目の選手でもある山田脩也を中心に攻め立てて、初回に先制点を挙げる。2回にも追加点を挙げるなど、序盤は仙台育英ペースで試合が進んだ。

大阪桐蔭は、3回に制球が定まらない仁田から2つの四球でチャンスを広げ、徳丸のタイムリーで1点を返す。仙台育英は、4回にエース・高橋煌稀がマウンドにあがるが、6回にピンチを招いて左腕の田中優飛がマウンドへ。その田中に対して山田(太成)がツーベースを放って逆転。その後も大阪桐蔭は、追加点をあげて突き放した。9回に前田が2本のタイムリーで1点差に追い上げられたが、161球を投げて完投勝利で決勝進出を果たした。

大阪桐蔭は勝利をしたものの、仙台育英は夏のメンバーが残っていることから、センバツ以降も脅威となっていくだろう。

決勝は2年連続で広陵との対戦になった。大阪桐蔭は南恒誠が先発。しかし、序盤から広陵打線に捕まり、準決勝と同様にビハインドの展開になった。4回には南陽人が、注目のスラッガーでもある真鍋慧にツーランホームランを打たれて、一時は5点差となった。

しかし、このままで終わらないのが、大阪桐蔭打線だ。5回の先頭打者の長澤元のスリーベースヒットから、広陵先発の倉重聡を攻め立てる。山田・徳丸・南川幸輝の連続タイムリーや押し出しなどで5点差を追いつく。さらに、6回にはこの大会で当たっている山田のタイムリーで勝ち越した。勝ち越した6回からは前田がマウンドにあがる。その前田が4回7奪三振の好リリーフを見せて、見事に大阪桐蔭が史上初の明治神宮大会2連覇を果たした。