大は小を兼ねる万能食器「ラーメンどんぶり」 

一人暮らしを始めた20年前ごろ、たぶんディスカウント系のホームセンターだったと思うんですけど、ラーメンのどんぶりを買いました。めちゃくちゃ安かったです。ひとつ200円ぐらいだったんじゃないかな。

当時は「メシ食えたらなんでもええ」っていう感覚で、なんにでも使えるなと思ったんです。大は小を兼ねるというか。大きめの器として、これでラーメンだけじゃなくて、うどんもそばも丼ものも食べましたし、おかずをよそったりもしましたね。機能重視なんで、デザインとかは気になりません。

これがまあよくできた器で、1ミリも欠けることなくきれいなままなので、気づけば20年っていう感じで、特に意識することもないままずっと使ってるんです。今はさすがに麺類のときしか使いませんけど、うどんやそばはまだこれで食べてますね。

▲大は小を兼ねる万能食器「ラーメンどんぶり」

2個買ったのは、単純に安かったから。2個あれば、食事のたびに洗わなくて済むじゃないですか。今は妻と二人で使ってるので、これはこれでちょうどいいんですよね。

安いモノなら、だいたい2〜3個まとめて買います。僕はモノを捨てられませんけど、あまりお金に執着はないほうだと思います。一番安い値段で買いたいとか、とにかく節約したいとか、そんな気持ちはないんです。

漫才で僕がツッコミになった理由

このどんぶりを買ったころ、モンスターエンジンの西森(洋一)とコンビ(蛇腹)を組んでて。僕の家でネタ合わせをしたときに、ラーメン作ってこのどんぶりで出したら、西森は「めっちゃベタな器やん」って笑ってました。

西森は当時から天才でしたね。今でも西森を知ってる人はみんな、「実力と露出のバランスが合ってない」って言うてます。

僕はダウンタウンさんに憧れて、松本人志さんみたいになれると思ってNSC(吉本総合芸能学院)に入学したんですけど、人生において初めて自分よりおもしろいと思ったのが、西森だったんです(出会った当時にですよ。今はもうバケモノと思える芸人ばかりいます。でも『アメトーーク!』でも言った通り、西森は今も天才やと思ってます)。

漫才において僕がツッコミになったのも、最初に西森とコンビを組んだのが原因やと思います。「こんなおもしろい人がおるんやったら、俺はツッコミしかないな」って。別の人とコンビを組んでたら、向いてないボケにこだわって、今ごろダメになってたかもしれない。

▲漫才で僕がツッコミになった理由 画像:photoAC

ただ、西森はとにかくしつこいヤツで。よう覚えてるのが、何がおもしろいのかわからないんですけど、大便をしたくなると「お尻の括約筋が活躍できへんようになってきた」みたいなことを言うてたんですよ。毎回、トイレに行く前に。2〜3回なら気にしませんけど、20〜30回ぐらい言うとったから、さすがにイヤになりましたね(笑)。漫才のネタ合わせしてるときも、何か1個ツボに入ったら、ホンマにしつこかったな。

ネタは西森が書いてました。僕も自分でネタを書きたかったので、僕のネタを二人でやったりもしたんですけど、西森が明らかに手を抜くんですよ。

本人は認めないと思いますけど、なんか流してる感じで。それも解散原因のひとつだったと思います。このコンビじゃ売れないとは思ってなかったんです。でも、自分が芸人として、どれほどのものなのか知りたくてこの世界に飛び込んだので、より自分の力で売れたいと思ってしまったというか。西森の才能は認めてるけど、だからこそ解散するっていう、ヘンな解散でしたね。

だから、今でも仲は良くて、二人で飲みに行ったりもします。ホンマ、めちゃくちゃおもしろいヤツなんで。

※本記事は、おいでやす小田:著『僕はどうしても捨てられない。』(ヨシモトブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。