立ち食いそばは「おやつ」なのか
立って食う。
のっけから申し訳ない。あたし痛風の発作で足を引きずっています。あはは、じゃないよ本当に。今日はお酒を控えないとね。そんなわけで連載2回目は「立ち食いそば」のお店にお邪魔します。
「立ち食い」の起源は諸説ありますが、江戸時代の立ち食い寿司にあるという説が一般的なようです。
寿司は江戸庶民のファストフードでありました。時間をかけずに食事ができる握り寿司は気が短い江戸っ子にピッタリだったのです。
同じくして江戸時代に庶民に人気を博したファストフード、それが立ち食いそばです。
時は流れ現代でも時間がないサラリーマンに重宝されています。そんなわけで今回は立ち食いそばの話を。
個人的な思い出になりますが、私の実家は『コボちゃん』で知られる植田まさし先生の漫画が一通り揃えてあるような素晴らしい家でした。そんな植田先生の作品の中に『キップくん』という駅員を主人公にした傑作がありまして、グータラ駅員たちが仕事をサボってホームの立ち食いそばを食べていると、駅長に怒られるシーンがあるんです。
駅長はこう言いました。
「おいこら、おやつ食べてないで仕事をしろ」とーー。
小学生だった私は数日悩みました。
「立ち食いそば=おやつ」の意味がわからなかったのです。
おやつは甘いもの。
そばはごはんじゃないのか。
そう思ったからです。
時は流れ、私は不惑をいくつかすぎ、渋味と苦味と雑味がこれでもかと混ざった中年になったわけですが、この年になって気が付いたことがあります……。
立ち食いそばはおやつである。
ミーティング中に、気を利かせておやつを差し入れてくれる人がいますが、どうせならもっと気を使って欲しいですよね。
「甘いもの買ってきました」じゃなくって、そば買ってきてくれませんか?
「紅茶とコーヒーどっち?」じゃなくって、めんつゆも選択肢に入れてくださいよとーー。
というわけで、完全におやつ認定された立ち食いそばですが、私が足繁く通う立ち食いそばの名店をご紹介しましょう。