リアル書店には書店員さんがいます。そして、電子書店にも“顔が見えない”書店員さんがいます。なかなか実態が見えない電子書店の“中の人”に、アレコレ聞いてみる『教えて!電子書店の“中の人”』。
今回は、20年以上続くDMM.comのなかでも歴史のある電子書店「DMMブックス」の南川さんと中世古さんにインタビューしました。
60以上の事業があるDMM.com
――本日はよろしくお願いします。まずは自己紹介からお願いします。
南川 南川と申します。DMMブックスの営業統括部長をさせていただいています。主にストア運営、他にも電子書籍事業部内で出版部門だったり、いろいろな新しい事業に挑戦しようとしていますが、今はDMMブックスというサービスの全体運営などの責任者をやらせていただいております。
簡単にキャリアをお話すると、紙の本屋から電子書店まで、20年間ずっと書店員をやり続けてます。よろしくお願いします。
中世古 中世古と申します。DMM.comには新卒入社で現在6年目です。電子書籍事業部だけでいうと4年目となります。キャンペーンや企画立案から、分析チームなどを経て、現在はSEOチームのチームリーダーをやっております。そのチームで運営しております「どくしょ部」というメディアを2022年からやっているのですが、そちらの編集長ポジションも担っております。
――ありがとうございます。DMM.comさんって、本当にいろいろな事業を手がけてらっしゃるイメージが強いです。
南川 そうですね。今現在でいうと、弊社で60以上の事業がありまして、正直、働いていても他部署が何やってるのかわからないぐらいの状態なんです(笑)。ありがたいことに電子書籍市場も順調に伸びているなかで、「DMMブックス」というサービス自体もどんどん成長をしておりまして、会社の中でも比較的に優良事業部として重要なサービスの一つとなっています。
――外側から見てても、電子書店としての急上昇ぶりが印象的というか。
南川 サービスそのもの自体は、2000年ぐらいからやっているので、そういう意味で言うと老舗ではあるんです。
とはいえ、サービス初期の頃は品揃えも十分に揃ってなかったような状態が続いていたんですね。2014年にWebのサービスもアプリとか、全部ひっくるめてリニューアルをかけて本気でやろうっていう話になってからなので、僕らからすると2014年からやってるサービスという気持ちです。最初の13年ぐらいは黒歴史としてしまって、2014年からスタートっていう感じで、後発サービスのマインドでやらせてもらっています。
そこからありがたいことに、いろいろな出版社さんとかのご協力もいただけて、おかげさまでだいぶ勢いが良くなっております。
写真集ではKindleと勝負できている!
――それでは書店の特徴やアピールポイントをお聞きしたいのですが、DMMブックスさんはラノベ・文芸・ビジネスの文字モノも扱う総合書店ですけど、やっぱり主力は漫画でしょうか。
南川 そうですね。電子書籍市場の売上の8割ぐらいがコミックで構成されてるっていう状況もありますので、どこの書店もそうだと思うんですが、弊社の場合でも同じようにコミックが中心にはなってます。
ただ2021年に実施したキャンペーン〔 ※初回購入限定最大100冊70%オフクーポンプレゼント〕のときには、いわゆる文字モノのなかでも実用書だったりとか、特に設定資料集系のものが非常に多く売れました。
あと、日本の頂点に君臨するKindleさんには追いつけないんですが、写真集ジャンルにおいては、十分勝負ができるぐらいまでいけてるという面があって、そういう意味でオールジャンルで戦ってるっていう形ですね。
――弊社のタイトルでも、同じくらい売れている写真集がたくさんあります。先ほど中世古さんがおっしゃってましたが、昨年の夏に「どくしょ部」を立ち上げられたんですね。
中世古 チーム自体も2022年3月ぐらいに立ち上がったチームでして、イチからメディアを立ち上げるぞっていうところから始まりました。
――サイトを拝見したんですが、「〇〇10選」とかテーマを決めてまとめてもらえるのって、ユーザーとしては本当にありがたいです。例えば悪役令嬢モノが見たくても、“悪役令嬢”がタイトルに入っていなければ検索してもヒットしないので、探し方に悩むんですよね。
中世古 自分の力で面白い作品にたどり着くのが難しくなってきているというか、何を選んだらいいか迷うお客様も多いと思うので、実際にメディアの運営部隊が作品を読んだうえで、お客様におすすめしたい作品を記事にしています。
――「どくしょ部」にも関係すると思うのですが、書店員としてのお仕事を教えてください。
中世古 立ち上げたばかりのメディアというところもありまして、まだまだ運用も改善を加えていくフェーズではありますので、試験的にいろんなことを試している状況です。そのなかでも一応リーダーとしてやらせていただいてますので、ライターさんたちのマネジメントから、普段のちょっとした相談だったり、記事を書くうえで思い悩んだところがあったら相談に乗ったり、一緒に方針を決めたりしております。あとは、記事原稿に全て目を通しているので、必要に応じて修正・編集作業も見ております。