リアル書店には書店員さんがいます。そして、電子書店にも“顔が見えない”書店員さんがいます。なかなか実態が見えない電子書店の“中の人”に、アレコレ聞いてみる『教えて!電子書店の“中の人”』。

今回は、老舗電子書店「Renta!」を運営する株式会社パピレス Web編集企画部の吉田さんにインタビューしました。

▲電子書店「Renta!」 のロゴ

それぞれジャンルの長がいるRenta!

――さっそくですが、自己紹介からお願いします。

吉田 株式会社パピレスのWeb編集企画部に所属しております、吉田と申します。入社が2015年で、そこからずっと主にRenta!の運営を担当しております。Renta!は、2007年からサービスがスタートしていて、主にコミックが中心なんですけど、ノベルや電子書店パピレスで売っていた実用書、オーディオドラマも今はこちらに統合して、幅広い作品を取り揃えているサイトになっています。

▲パピレスの吉田さん

――老舗ですよね、電子書店としては。

吉田 そうですね。前身のパピレスから含めると、もう30年以上になります。

――特徴やアピールポイント、他書店との違いをお伺いしたいんですが、3つ大きく挙げていただいているのが、“レンタル”と“企画”と“スタッフ”ですね。

吉田 はい、まず1点目のレンタルなんですけど、うちはRenta!という名前の通り、レンタルサービスを打ち出しているサイトです。購入するよりも安く読むことができる価格帯で、閲覧期間はレンタルを始めてから48時間、約2日間なのですが、気になるけど買うのはハードルが高い……というような作品を安く、試し読みしていただけるような内容になっています。

――手に取りやすい、というのがありがたいです。2点目の企画は?

吉田 値引きに頼らない企画をいろいろ模索しています。ユーザーさん的には80%還元、50%還元などがあったほうがヒキはあるかなと思うんですけど、お得感を打ち出しつつも、別のところでマンガの楽しみ、のようなことを知ってもらいたいなと思っています。

――コンシェルジュみたいですよね。サイトを拝見していると、それぞれの好みに寄り添うような企画を作ってくださってる印象があります。

吉田 まさにBLの企画になるんですけど、コンシェルジュって企画をやったり、Twitterでユーザーさんから“こういう本が読みたい”とリクエストしてもらって、それに対して弊社のBLスタッフが、AIとかには頼らずに人力で記憶をたぐり寄せたり、社内で話し合いながらオススメしたり。おっしゃっていただいた通り、1人1人に寄り添った、データだけではできないオススメ作品を提供していきたいと思っています。

――ありがたいですね。3点目のスタッフとは?

吉田 3点目のスタッフなんですが、他の書店さんでも同じかと思うんですけど、めちゃめちゃマンガ好きが多くて、特にBLとか少女マンガとか、売れてる作品をしっかりと読んでる人が多いですね。社員間でもオススメ作品の話をしたりするので、そこから“こういう傾向が今後くるんじゃないか”って企画につながる。雑談しながらマンガの話を膨らませていって、企画につなげていくことがすごく多いので、マンガ好きな社員が集まってるからこそだと思っています。

――なるほど、楽しそうですね。リラックスしてお互いが好きなものを話すと、より良い企画も出てきそうですね。

吉田 もちろん、数字を見てデータを分析してやるのも大事なんですけど、自由な発想を発言できるような雰囲気がないと、面白いと思ってることでも萎縮して言えなくなったりすることもあるんじゃないかと思っていて。その点、弊社は意識して雰囲気作りをしなくても、発言しやすい空気に自然となっている部分があると思います。

――働きやすい職場作りができているということですね。

吉田 マンガ好きにとっては、天国というか天職なんじゃないかと思います。好きなジャンルが人によって違ったりするので、BLといえばこの人、少年マンガはあの人に聞こう! など、社内で周知されています。

――なるほど。そうやって社内で相談されていると。

吉田 そうですね。それぞれジャンルの長みたいな人がいるので「困ったら、その人に聞こう」という風土になっています。

――ちなみに吉田さんは、どのジャンルの長なんですか?

吉田 私は旧BLの長だったんですけど、今は新しい担当に任せてます(笑)。

――世代交代をされたんですね(笑)、今はBLジャンルはご担当じゃないんですか。

吉田 いえ、今もBLに籍を置いています(笑)。