56歳で父に45歳で初めて母になった2人のシニア子育て奮闘記! 狭小マンションにベビーベッド? 何を買って、何をレンタルして……何が本当は要らなかったのか。年齢関係なく参考になるリアルな赤ちゃんグッズのあれこれを、56歳で子育てデビューした夫婦がまとめる(個人による感想です)。

※本記事は、中本裕己:著『56歳で初めて父に、45歳で初めて母になりました -生死をさまよった出産とシニア子育て奮闘記-』(ワニ・プラス:刊)より一部を抜粋編集したものです。

私が役に立った(立たなかった)赤ちゃんグッズ

夫婦2人で寝起きができて、職場が近くて、すぐに飲みに行ければ、狭くてもいいじゃないか。そんな、落語に出てくる長屋のような生活をしていたので、文京区の根津に借りていたマンションは、40平方メートルほどの1LDK。

ここに赤ちゃんと一緒に3人で住めるのだろうか。

「それだけのスペースがあれば、じゅうぶんですよ。私もご近所に住んでいます」と言ってくれた東大病院の看護師の言葉は大いに励みになった。

さてここで、限りある家のスペースを使いながら、どう育てていったのか。育児のためにレンタルしたもの、買ったもの、役に立ったもの、使わなかったもの、あればよかったなと思ったものを振り返ってみたい。

まずはベビーベッド一式。これは必須だ。木製のベッドの周囲は転落防止のガードが付いていて、大人が世話をしやすい高さにマットレス、シーツを敷く。下はオムツやタオルなどをすぐ取り出せる棚として活用できるから、これは省スペースにもなってよかった。

約1年半借りて、1万5000円程度。月額1000円の家賃で赤ちゃんの住まいが手に入った。

▲子育てに必須のベビーベッド イメージ:asai_h / PIXTA

出産祝いでいただいたカタログギフトもかなり役に立った。コロナ禍で、夫婦揃って買い物に出にくい状況でもあり、通販で必要なものを絞ることができる。

カタログで選んだお風呂セットは、空気でふくらませる沐浴用の浴槽とやわらかいイス、プラスチック製のしっかり固定できる風呂イスの3セット。

息子をお風呂に入れるのは私の係で、今も深酒して帰った日以外は、365日中の355日ぐらいは一緒に入っている。

はじめのうちは、シャワーをかけたとたん、驚いて「ビエーン」と泣きながら、おしっこの噴水をピャーッとかけられたりもしたが、次第におとうさんの風呂好きDNAを受け継いだのか、ご機嫌になった。早産で体が小さかったこともあり、背面が傾斜した小さなビニールプールのような湯舟に溺れそうになるのを、しっかり腕で支えなければならなかった。

バウンサーという今どきのゆりかごも活躍した。傾斜のついた小さいベッドのような背もたれに寝かしつけ、ベルトで固定して手動で揺らしてあげるのだ。これは私もときどき、あやすときに使った。泣きやまないときには、深夜早朝でもこれに乗せて揺らし続けるしかなかったが、それでも泣き続けることは多かった。

妻が言うには「あとから思ったの。バウンサーもいいけど、電動ハイローチェアがあったほうが、もっと育児が楽だったかなって。だって、バウンサーはずーっと手で動かし続けないといけないんだよ。夜中泣いているときは大変だったわ」と。

電動ハイローチェアとは、いわば電動のゆりかごで、ベッドを起こすと離乳食用のイスとテーブルになるスグレものであるが、それだけに4万円程度とお高くて、手が出せなかったのである。

「レンタルもあったのよ! あれがあったら、ずいぶん夜泣きが解消されたと思うの」

私がグースカ寝ている夜中や明け方に、妻の負担は限界突破ギリギリだったようなのだ。悪いことをした。

赤ちゃん用の食器一式もカタログギフトで揃えた。1つずつ選んでいる暇がないので、これも助かった。そのうちストローマグ(水筒)は2歳になった今でも、息子のお気に入りだ。

お茶を入れたストローマグと、私の泡の出るお茶(ビールとも言う)とで「カンパーイ!」と言えるまでになって、とうちゃん涙目だ。

▲今でもお気に入りのストローマグ イメージ:Ushico / PIXTA

買ったのに、使いこなせなかったものもある。

ミルクを飲ませるために、けっこう無理な姿勢を強いられるため、妻も私もずっと腕が腱鞘炎になっていた。それを解決するため、親の負担を軽くするドーナツ状の枕を買った。

浮き輪の中に赤ちゃんを寝かせるような形状で、息子はすっぽりと体が収まってうまくいったかに見えた。

ところが、ドーナツ状の枕をうまく持ったり支えたりするのは、育児上級者のテクニックが必要で、私も妻も2~3回使ったきり。元どおり自分の腕の中でミルクをやるほうがやりやすかった。使い方が下手だったのか、間違えていたのか、こういう商品は使ってみないと、合う合わないがわからない。

床に敷くフロアマットは、赤ちゃんのときに購入して、追加してどんどん継ぎ足して重宝している。ペットを飼っている方もよくご存じだと思うが、汚してしまったところだけを取り外して洗える。適度なクッション性があるので、はじめのうちは、万一ベビーベッドから転落した際に備えて周囲に敷いていた。

2歳の今は、ドタバタ歩き回る足音もある程度は吸音してくれている。いいものを買うと安くはないが、5年以上は使えるので「買い」だろう。