漫画家の夢を諦めコスプレの世界へ

――人生で初めてやったコスプレを教えてください。

ユリコ 涼宮ハルヒでした。ウィッグがなかったので、自分の髪を切ったり、おばあちゃんに手伝ってもらって作りました。

――それからコスプレにハマっていったんですね。

ユリコ はい。じつは12歳のときは漫画家になりたくて、漫画アカデミーに通って勉強をしていたんです。漫画家やイラストレーターは、顔を出さなくていいんじゃないですか。でも、コスプレイヤーやアイドルになるんだったら、今じゃないともうできないと思って、コスプレイヤーになることにしました。

▲初めてのコスプレは家族に協力してもらいながら涼宮ハルヒに

――漫画家を諦めてまでコスプレイヤーになったということですが、コスプレのどういった部分が楽しいか教えてください。

ユリコ やっぱりキャラクターになりきれるのが一番楽しいです。恥ずかしい話だと「この子はどんな下着を履くかな」って考えて、自分の想像で下着も合わせます。だから、笑わないキャラのコスプレをしたら本当に笑わなくなるので、クライアントがちょっと困っていました(笑)。気持ちとしては女優に近いと思います。

――下着まで合わせるとは恐れ入りました……。話は変わりますが、ユリコさんはアニソンにも詳しいですよね。以前、放送された『マツコの知らない世界』(TBS系)では、アニソンについて熱弁されていましたが、なぜこんなに詳しくなったのでしょうか?

ユリコ 声優の平野綾さんが好きだったんですけど、平野さんがアニソンを出していたので、それがアニソンが気になったきっかけだと思います。放送されたアニメを見て「歌手は誰ですか」と調べて、「この歌手は他に何をやっているのか」と調べていって。そのあとはアイドルも好きになって、でんぱ組.incの大ファンでした。

あと、15歳のときに好きだったタレントは篠原ともえさん、歌手で好きだったのは木村カエラさん。周りに同じことが好きな友達がいなかったし、出かけることにも興味がなかったので、家で日本のトップカルチャーや音楽を勉強していました。

イタリアにはタレントという存在がなくて、ショーガールって感じの人はいるんですけど、日本のタレントとは全然違います。それで、日本に来てから気づいたことは「日本人は自分の良さがわかってない」ということです。

10年ぐらいかけて、アニメや漫画が「日本の武器なんだ」って外国人に伝わったと思うんですけど、けっこう知られるのが遅いなと思いました。新しい物を作るのは日本の天才なところなんですけど、天才やオタクは(周りから)あまり理解されていない方が多いと思います。

▲キャラクターの描かれていない部分まで想像し、徹底的になりきる

――愛がすごいですね。アイドルも好きになったとのことですが、アイドルを目指されていた時期もありますよね?

ユリコ そうですね。少しだけ活動していたいんですけど、当時は外国人アイドルは本当に聞いたことがないくらいでしたし、この見た目だとグラビアアイドル、女優さんのほうがいいんじゃないかって話になって。私にはかわいさがそこまでなかった気がするんですよね。

オーディションを受けていた頃に「きれいすぎるからダメです」って言われて、「どういう褒め言葉?」ってなりました(笑)。今は外国人も増えてきているので、今からアイドルをやってもそんなにおかしくないと思うんですけど、当時は残念ながら少し早かったですね。

――なんでも取り組むのが早いですよね。

ユリコ そう、早すぎる! 前の事務所にいた2017年の頃も「VTuber(バーチャルYouTuber)は絶対成功する」って言ってたんです。そしたら「顔は見せないともったいない。価値がない」って言われてやれなかったんです。でもホロライブがすごく有名になって……。イタリアにいたときも早すぎて、アイドル文化やグラビアアイドルのことを発信したのは私くらいだったんですよね。