芸人、そしてコーヒー好きとしての未来
――最後になるんですが、石井さんの芸人としての野望、そしてコーヒー好きとしての野望、それぞれお伺いしてもいいですか?
石井 芸人としてで言うと、自分たちの中で“これをやっておけば間違いない”というネタがあるんですが、例えば一日、劇場の出番があるとして、出番が3回とかあったら、そういうネタが3本ほしいですね。お客さんは変わることがほとんどなので、3回の出番、全て同じネタでもいいと思うんです。中川家さんとかは、同じネタだけど同じじゃない、ああいうのは達人の域やと思うんですけど、個人的には同じネタをやるのが向いてないんです、飽きちゃうんで。自信のある面白いネタを3つやれたらいいなと思います。
――劇場を大事にされるコマンダンテさんらしい答えだなと思います。ちなみに、師匠と言われる方々で、“この方の雰囲気いいな”と思う方はいらっしゃいますか?
石井 現役でやられてない方でもいいですか?
――あ、はい!
石井 いとしこいし師匠、ダイマル・ラケット師匠。東京だと、のいるこいる師匠とか、すごく好きですね。
――あー、なんか勝手に腑に落ちました。特にいとしこいし師匠とか、すごくコマンダンテさんのネタの方向性に影響を与えているなって偉そうながら思います。ちなみに、今NGKに出ているような師匠の方ではどうでしょう?
石井 トリを取ってらっしゃる、阪神・巨人師匠、のりお・よしお師匠、皆さんすごいですけど、漫才師じゃないんですが、桂文珍師匠はいいなと思います。皆さんそうだと思うんですけど、特にひとつの舞台に本気なんですよね、カッコいいです。
――わかります、めちゃくちゃ面白いですよね。僕、文珍師匠がTVに出てらしたときの印象しかなくて、初めて高座を見たときにびっくりしました。……すみません、また自分の趣味で聞いてしまって……。
石井 あははは(笑)。
――仕切り直して、コーヒー好きとしての野望はどうですか?
石井 そうですね、カフェをやりたいなと思うんですけど、吉本を絡めたくないというか、なんか“芸人がやってるんだ”っていうのが匂った時点でダメな気がするんですよね。
――(笑)えー、そうですか?
石井 それは後ろ向きな意味じゃなくて、僕が店を出しても、コーヒー目的でいらっしゃる方は少ないだろうし、お笑い芸人がやってるカフェを目的で来る方はターゲットじゃないんです。だからもし、やるとしても名前を出さずにやると思いますね。
――なるほど。でも、そのこだわりは装丁にも表れている気がします、これ、パッと見、吉本芸人さんの本だとは思わないですよね。めちゃくちゃオシャレでカッコいい。
KADOKAWA担当者 書店によってはタレント本コーナーじゃないところに置いてるそうです。
――よくわかります…! あと、石井さん、道具のプロデュースはどうですか?
石井 あ、道具のプロデュースはいいですね。豆を挽くグラインダーは、自分でも使ってて思うことがあるので。
――コーヒー豆はどれだけ均一に挽けるかというのは、なるほどと思いました。
石井 均一に挽ける道具って、すごく値が張るんです。だから、そういうところでは求めやすい値段で、良いグラインダーを開発できたらいいですね。ちゃんとロフトやハンズとかに置いてもらえるようなものにしたい。ルミネtheよしもとの芸人グッズショップに置かれて誰も買わない、みたいなのは悲しすぎるので(笑)。