幸せを届けられるような絵を描きたい

――ウルフくんを描き始めたのはいつ頃だったんでしょう?

本間 ウルフくんは大学4年の頃に描き始めたので、もうだいぶ長い付き合いになりますね。

やさしいオオカミのウルフくん

――ウルフくんが生まれたきっかけはあったんでしょうか?

本間 大学4年になった頃に、自分が今後も作品を描いていくうえで、“誰に何を感じてもらいたいか?”ということを考えたんですよ。

――おお、深い。

本間 今まではスキルアップのためであったりとか、課題をこなすために描いていたので、第三者に向けて何かを発信するイメージで絵を描いてこなかったんです。なので、それを改めて考えたときに、“幸せを届けられるような絵を描きたい”と思ったんです。

――なるほど。

本間 見た人が「にっこり」とか「ほっこり」してもらえるようなイラストを描きたいなと。

――意識が変わったんですね。

本間 それから、自分では意識してないんですけど、私の絵を見た人はみんな「シュール」とか「じわじわ来る」って言うんですよ。先生や友人だけじゃなくて、私のことを知らない人も。

▲タイトル「寝相選手権」ウルフくんの仕草に思わず笑顔になる

――知らない人まで。

本間 どれだけ真面目に描いても、クスッと笑われるんです。そこに自分の強みを感じたと言いますか……。それからは笑っていただけるような、力が抜けるような絵を目指したいと思うようになりました。それがウルフくんにつながります。

――おお、ここで!

本間 自分の作品として、優しい動物を描きたいと思って、ゆるいデフォルメの動物を描き始めたんです。そこで、オオカミを描いたんですけど。オオカミって本来は悪役じゃないですか。

――そうですね、おとぎ話とかでは。

本間 オオカミを優しく描いたら可愛いなと思ったところが始まりです。

――なるほど。ウルフくんってキャラクターとしてもやわらかくて優しいですけど、そこが原点だったんですね。

本間 それからずっとウルフくんや優しい動物を描いては、アートイベントに出展したりしてました。そこで描いてた動物が、そのままウルフくんシリーズの住人になっていった感じですね。

――悪役イメージのある動物って他にもいると思うんですが、最初からオオカミだったんですか?

本間 そうなんですよ。好きな動物はハムスターなんですけど、あまのじゃくなのか、昔からオオカミの作品をよく作ってて。

――潜在的にオオカミが好きなんですかね?(笑)

本間 たぶん、そうなんだと思います(笑)。自分の作品にはよくオオカミが出てきますね。なので、自然とウルフくんが中心になっていきました。

――人気が出てきたな、と感じるような手ごたえみたいなものはあったんでしょうか?

本間 よく聞かれるんですが、イマイチわかってなくて(笑)。ただ、本格的にやっていこうと思ったきっかけとしては、体調を崩して入院していた時期がありまして。そのときに“好きなことをもっとやっていきたいな”と思って、時間ができたこともあってウルフくんのツイッターアカウントを開設しました。

――入院がきっかけになったんですね。

本間 その後、体調が回復してから、ウルフくんをもっと描くようになって、LINEスタンプを作ったり、マンガを描いてみたり、以前よりもイベントに出展したりするようになりました。そんな活動を重ねていたら、ゆっくりなんですけど、知っていただく機会が多くなっていったのかなと思います。

――ツイッターに上げたときに反応が良かった作品って?

本間 反応が良かったのはご飯もの、食べ物を描いた作品ですね。私自身、食べることが好きなので、みんなにやってみてほしいレシピをウルフくんに料理してもらう漫画とか、自分が食べたいものをウルフくんに食べてもらうイラストとかをよく描いてたら、いい反応をいただきました。

▲大きなピザを食べるウルフくんたち、見てるとお腹が空きます

――本間さんの描く食べ物は可愛くて、どれもおいしそうです。

本間 やっぱり食べるのが好きだからですかね(笑)。