脳裏に焼き付いている生で見たスゴい選手たち
僕はW杯をブラジル大会から3大会、合計21試合を生観戦しています。Jリーグはおそらく100試合以上は見てるはず。高校サッカー、大学サッカーも好きなので、そこそこの試合数は見てきてるはずです。
たくさんのスタジアムで見てきた選手たちが、僕の脳裏に焼き付いています。
ブラジルのフォルタレーザで見た、サイドバックなのに必ず1人かわして味方にパスを出す(それも相手が切りにきてるコースを平気で通す)マルセロ。
西が丘で見た、中学2年なのにプロ内定の高校生に混ざってガンバユースの試合で大活躍する宇佐美貴史選手。
信じられないくらい速かったし、ボールを取られると守備に戻るより先に、全然ほどけてない靴紐を結ぶフリをしてシューズのせいにするエメルソン。駒場。
天皇杯で駒澤大をパスサッカーでチンチンにして、あと少しでFC東京のトップチームと東京ダービーできるとこまでいくも、大学生のパワープレー一発の前に沈んだ東京ヴェルディユースのリケルメだった小林祐希選手。西が丘。
50m6.0秒で僕の大学の最速ドリブラーの縦突破を、余裕で身体を入れて止めていた元U-18日本代表で国士舘大学のセンターバックの大久保翼さん(しかも怪我明けの調整ということでスパイクすら履いてなかった)。国士のグラウンド。
僕が見に行くと、どんなスタジアムでも必ずベンチ外のイニエスタ。
カテゴリー問わず、たくさんの選手が興奮を与えてくれました。
そんななかでも、今回は僕が生で見ることで、よりスゴさを感じることができた選手を紹介したいと思います。
この連載を始めるにあたって、そういう題材で書いてみては? と言っていただいたのでぜひお付き合いください。
ピッチ上の全員が見えているピルロ
1人目はアンドレア・ピルロ(元イタリア代表MF)です。
僕が見たのは、ブラジルW杯のイタリア対ウルグアイの一戦。
世間的に印象的なシーンで言うと、ウルグアイのFWスアレスがイタリアのDFキエッリーニに噛みついた試合です。あのときのスタジアムの雰囲気は良かったなぁ。
観客席ではいろんな国の言葉が飛び交うんですが、なんとなく伝わる、各国語の
「あれ? スアレスやらかしたんじゃね?」
と言ってる空気。
試合後、レストランに行ったのですが、試合映像のハイライトで繰り返し流されるスアレスの噛みつきシーン。
それに頭を抱える敗れたイタリアサポーター。
そして爆笑するブラジル人。
その奥で頭を抱えるウルグアイ人。
という非常に面白いコントラストでした。
そんな試合を僕は2階の最後列で見ました。せっかくこんな全体が見える席だから、ちょっと特別な楽しみ方をしてみよう! と思い、僕はその試合、ピルロだけを追いかけて予測しながら見てみました。
すると、僕が「次ここに出すかな」と予想した遥か上をいくアイデアの数々とその精度。
「これはダイレクトで下げるな」と上から見ていても思ってしまうような場面で、「いつ見たんだよ」っていうロングパスを上からでも見つけられない対角線の裏に通す。それも何度も。
これはテレビでは味わえない贅沢な楽しみ方でしたね。
ああ、本当に22人全員見えてるんだ……っていう。
ピルロは上から見ている僕より、さらに上から見えてるんだなぁと感動した記憶があります。