仕事でもプライベートでも、相手の信頼を勝ち得るためには「興味がある」ということを、いかに相手に伝えることができるかが重要です。10万人に指導する会話の達人・櫻井弘氏が、最短で心の距離を縮めたいとき、相手との関係をうまく深めたいときの「すごい質問」を教えてくれました。

※本記事は、櫻井弘​:著『人を動かしてしまう すごい質問力』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。

それって、なんのキャラクター?

質問をするときの主な動機は、自分にとって未知のことを「知りたい!」と思うことです。これは逆に「興味の対象ではないことについては質問しない傾向がある」とも言い換えることができます。

相手の信頼を勝ち取るために、興味の対象をいかに相手に向けるか。これがポイントです。

ある男性カリスマ塾講師が言っていたことですが、彼は「生徒の信頼なくして指導の意味なし」として、授業を丸々潰してでも、生徒と信頼関係を築けるまで生徒の好きな話題について語ってもらうそうです。

子どもからすれば、塾や家庭教師の指導は親の命令で受けさせられていることがほとんどでしょう。しかも立場と年齢の差があるわけですから「どうせ、この先生も偉そうに指導してくるんだろ。まったくツラいね~、受験生は」と身構えてしまいます。

そういった心理的な障壁を取り払うためには「あ、この先生は私の話を聞いてくれるんだ」「ほかのオトナと違うな」と思ってもらうことが何より肝要だと言っていました。

彼の場合は、通学カバンにぶら下げているストラップや、キャラクター入りの文房具、携帯カバーなど、その子なりの「主張」「関心ごと」「こだわり」「趣味」がわかる小物を瞬時に探して「これ面白いね。このキャラ好きなの?」と、その趣味を褒めつつ、質問をすることで生徒さんが語りやすい環境を用意するそうです。

これは会話術でも鉄板の法則で、会話を盛り上げたいなら「相手が話したいだろうと思われること」をさりげなくネタ振りして、話題の中心にすることが一番効果的です。

名司会者である明石家さんまさんのトーク術を観察していても、彼はオチの名人であると同時に、話を聞き出す名人です。多くの人は会話を盛り上げようとすると焦りもあるのか、自ら会話の中心となろうとしますが、まったく逆でいいのです。

質問をする対象は、ほかの人がなかなか触れることのないこだわりポイントであればさらに効果絶大。人には承認欲求がありますので「こんな細かいところまで見てくれているんだ」と感動させることができれば、おのずと心を開いてくれるでしょう。

相手の関心ごとを知る糸口はいたるところにあります。

部下のスマホの待ち受け画面かもしれませんし、会話の端々に出てくるキーワードかもしれません(たとえば、普段は口数が少ないのにテレビドラマの話題になると饒舌になる人など)。

会話する相手に関心を持って、鋭い観察力を持ちましょう。

▲それって、なんのキャラクター? イメージ:elise / PIXTA

最短で心の距離を縮めたいときの質問例

●部下のこだわりを見抜いたとき

「お、フィル・ミケルソンの壁紙だ。やっぱり左利きゴルファーにとっては神?」

●上司のこだわりを見抜いたとき

「毎回思うのですが、課長っていいお店を本当によくご存知ですよね。どうやって見つけているんですか?」

●同僚のこだわりを見抜いたとき

「君のメールってものすごいわかりやすいよね。コツを教えてくれない?」

女性のこだわりを見抜いたとき

「お持ちのカバンが今日の服装にお似合いですね。やっぱり色合いを考えられて?」