へ~、スイーツ好きなんだ?

会社の同じフロアで、気になる女性が他の同僚とスイーツについて熱心に語っているのを耳にしたとしましょう。意中の人が「スイーツ好きである」という情報を入手した状態になります。ここで恋愛上手な人はタイミングを見計らって、その女性にスイーツにまつわる話題で声をかけることで接点を作ろうとします。

彼女たちの会話が全フロアに聞こえるような大きな会話だったら、その直後に「へ~、スイーツ好きなんだ?」と聞いてもいいですし、たまたま聞こえた程度であれば、その話を聞いたことは一切言わずに、日を改めて「最近、甘いものに目がなくてさ、スイーツ情報とか詳しい?」と白々しく聞くのもアリです。

「相手の答えがわかっているのであれば、わざわざ質問する必要もなかろう」と感じる人は、会話下手の証です。

相手の関心ごとについて尋ねることは信頼度や親近感の向上につながりますので、そうした情報を仕入れたら活用しないほうが損です。それに相手の好きな話題を振れば会話を盛り上げるのは簡単です。聞き役に回って、少しオーバーに相槌をうっていればいいだけなのですから。頭の中で「どんなスイーツが好きなのかなぁ」と妄想していても現実世界は一切進展しません。

さらに会話を盛り上げたいなら、自分でも最新のトレンドをチェックして「最近ネットで見た南青山のカフェが気になってしょうがないんだよ。行ったことある?」と話を振れば、雰囲気はすでにスイーツ仲間です。

そもそも、人は頻繁に接する人に対して親近感を抱きやすくなります。

これを単純接触効果と言います。

ただし、会社の同僚として毎日顔をあわせる関係であっても、まったく会話がなければ心の距離は縮まりません。むしろ「この人、苦手かも……」という意識が日に日に強まる恐れもあります(なぜなら本来、会話があって当然の間柄なので)。

答えがわかりきったことでも、あえて質問する一番の動機は、接触頻度を上げるためです。

親子での「学校どうだった?」「フツー」といった会話も、重役と平社員との「調子はどう?」「おかげさまで忙しくさせていただいています」といったやり取りも、大阪商人同士の「儲かってまっか?」「ボチボチでんな」の決まり文句も、すべて接点を持つため。

そこで会話が盛り上がれば尚良しですが、あいさつだと考えれば、別にちゃんとした答えが返ってこなくてもいいのです。

▲へ~、スイーツ好きなんだ? イメージ:すとらいぷ / PIXTA

相手との関係をうまく深めたいときの質問例

●あえて小さな頼みごとをする

「電卓、一瞬だけ借りていい?」

●あえて悩んでいなくても相談する

「あの部長のことどう思う? 最近、ストレスがひどくて」

●あえて相手を気遣う

「最近頑張っているけど、疲れ溜まってない?」

●あえて小さな話題でも振る

「ヤフーニュースで笑える記事あったの見た?」